ちょっと待って。その書き込み、本当に大丈夫ですか?
少年による殺人事件が起きる。テレビは、顔写真まで含めて被害者に関する情報を繰り返し流す。しかし、特に事件発生当初は、加害者に関する情報はほとんどない。主流派マスコミというパラダイムの中ではよくある話だ。
知ろうと思えば、誰でも知ることができる
日本では、少年法によって犯人の名前や顔写真がオフィシャルな形で公表されることはまずない。ただ、個々のケースによってマスコミ各社が独自に判断し、実名報道に踏み切ることはあった。
世の中の大多数の人々は、ごく一部の例外を除き、少年法で守られるべき未成年の犯人についての情報を得ることはできない…はずなのだ。
ところが、実態はどうだろう。2011年10月、滋賀県大津市で当時中学2年生の男子生徒がいじめを苦に自殺するという事件が起きた。しばらくして被害者と加害者たちの人間関係が明らかになるにつれ、いじめた子どもたちの実名はもちろん、顔写真や自宅の写真、それぞれの両親の仕事といった個人情報があっという間にネット上で拡散した。
カオス化するネット情報
拡散した情報には正しいものも誤ったものもあり、誤った情報をそのまま掲載したとある有名人のブログが炎上し、それが二次的な煽りに発展した。この事件に関しては、中学校および大津市教育委員会の対応のまずさばかりが目立って終わった。
もうひとつ。2015年2月、川崎市の多摩川河川敷で13歳の中学生が殺害され、遺体を遺棄されるという事件が起きた。紙媒体では週刊新潮が加害少年の実名と顔写真の掲載に踏み切ったが、それよりもかなり前から、ネット上では事件発生直後から犯人に関する膨大な量の情報が共有されていた。
恐るべき繁殖力
残虐な方法で人の命を奪った犯人に関する情報を積極的に提供しようという人たちの憤り。マスコミ報道ではわからない部分の情報をネット経由で集めようとする人たちの気持ち。どちらもわからないではないと感じる人が多いのではないだろうか。
ただ、それが犯人の個人情報であれ、前述の通りヒューマンエラーによって誤った内容が流されることもある。そして、ネット上で一度流れた情報は、正しかろうと間違っていようと完全に消去することはできない。
さらに、世の中に、ネット情報の爆発的な拡散力と浸透力を最悪な方法で利用しようとする人たちがいる。こういう人たちのターゲットになってしまったら、被害者ができることはきわめて限られている。運悪く被害者になってしまったら、どんなことが起きるのか。
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