子どもたちの夏休みが終了した。
筆者はこの夏も家族を楽しませるべく、車を運転する機会が多かった。あなたはこの夏、車に乗って家族奉仕に何回出かけただろうか。
ちなみに筆者は都内在住なのだが、車を利用する場合はもっぱらカーシェアリングを利用している。駐車場も必要なく、ガソリン代も月額費用の中に含まれる。長距離移動であっても最近ではレンタカー並かもしくはそれよりも安いくらいの値段で乗れるので、大変重宝している。
これだけ都市の交通網が発達していると、車に乗る機会はそうそうない。あったとしても短時間の利用がほとんどだ。加えて高額な駐車料金である。車に乗ること自体は嫌いではないが、残念ながら保有することまでは考えられなかった。
若者の車離れ、などと言われているが40代の筆者がこれである。所有欲の問題というよりは環境の問題のほうが大きいのではないだろうか。なんにせよ都市部に住む人間にとってカーシェアが最適解なのではないかと筆者は思っている。
いや、思っていた。
ここに来て、実は新しい車の持ち方に興味を持っている。それは個人向けのカーリースの存在だ。今回はこの個人向けカーリースと、カーシェアリングを徹底的に比較、都市部在住者に本当にふさわしい車とのつきあい方はどちらかを筆者の経験を交えて検証したいと思う。
個人向けカーリースってなんなのよ?
今回、新たに比較対象となる個人向けカーリースとはなんなのか。それは、自分で車を購入するのではなく、リース会社が購入した車を一定期間借り入れる、という車所有形態のことだ。
頭金を支払う必要はなく、メンテナンス費なども月額料の中に組み込まれており、さらに保険代も掛からないので維持費は格段に下がる。
もともと社用車などの法人向けリースはよく知られていたが、個人でもメリットが大きく、2014年頃から注目を集めている業態だ。
矢野経済研究所の調査によれば、2015年9月時点で2015年のマイカーリースの販売台数は12万6000台に昇る見込みで、2020年には20万3000台に到達する見込みとのことだ。
うーん、筆者が知らないだけでけっこう普及しているんだなぁ。
現在、数々の業者が参入してきているが、その中でも人気なのがコスモ石油が行う「スマートビークル」(URL:https://www.cosmo-mycar.com/)や、オリックス自動車のカーリース(URL:http://www.carlease-online.jp/index.html)だ。
カーリースとカーシェアのメリット・デメリット
まず、筆者が利用しているカーシェアはcareco(URL:https://www.careco.jp/)というサービスだ。このサービスを利用して気付いたメリット・デメリットを上げてみよう。
メリット:圧倒的に価格が安い
Carecoの場合、月額費用に加えて実際に車を利用するとその利用時間、距離に応じて料金が発生する。筆者が利用しているプランだと時間料金は10分130円、距離料金は100kmで15円だ。だが、6時間以内の利用の場合は距離料金は掛からない。
たとえば月4日、毎週末に6時間車を借りても費用は以下の通りとなる。
月会費:980円(税込)
利用料金:3,800円(税込)×4=15200
計:16,180円/月
加えてガソリン代や駐車場代が全くかからないのもうれしいところだ。
正直この金額より毎月の駐車場代の方が多い人も、これまた多いのではないだろうか。
では反対にデメリットについて考えてみよう。
デメリット①:利用の自由度が低い
利用には必ず予約が必要で、その予約が取れるとは限らない。特に土日や連休になると、周りのオーナーも利用頻度が上がるため、かなり先から予約をしておく必要がある。そのため、突発的な利用については難しい。
また、車に乗るためには近くのステーションまで行く必要がある。最寄りのステーションが予約いっぱいの場合、結構歩かされたりもする。
デメリット②:車は選べない
取り扱う車種は増えてきているが、あくまで運営会社が用意した車の中での話であり、好きな車に乗る、という楽しみはない。正直、車が好きな人には物足りないだろう。筆者の場合はたいていヴィッツに乗っているような気がする…
以上が実際にカーシェアを使った上での感想だ。
ではカーリースのメリット、デメリットについて考えてみよう。
メリット①:好きなタイミングで使える
カーリースの場合、契約している期間はマイカーのように手元に置いておける。そのため、いつでも自由に使うことが可能だ。急な用事のときや、ふと出かけたくなったときに予約なしに手軽に使えるのは大きなメリットだ。また、何回乗ろうが定額制のため、料金は変わらない。カーシェアリングでは利用を躊躇するようなちょっとした用事でもすぐに使えるのも魅力的だ。車が必要ない、とは言っても人間近くに便利なものがあれば使うのが性っていうものだ。
メリット②:購入する車を選べる
カーシェアリングの場合は、車は用意されたものの中から使うしかなかったが、カーリースの場合は新車を購入するときのように自由に車を選ぶことができる。加えてリース会社は大量に購入するため、割引額も個人で購入するよりも大きくなりやすい。
メリット③:初期費用が不要・維持費が安い
カーリースの場合、契約期間はマイカーのように利用ができるので、車を一台購入した、と考えるとその月々の維持費はかなりお得になる。
普通、車を購入した場合、以下の費用が掛かってくる。
1:ローンの支払い
2:自動車税/重量税
3:車検代
4:メンテナンス費用
5:駐車場代
6:ガソリン代
このうち1~4まではリース料金の中に組み込まれている。また、リースの場合、大量に購入するため、車体割引が大きいことと、リースの料金は、車両本体価格の一部を、あらかじめ残価(最終回お支払額)として設定しているので、通常の支払いよりも安くなる。加えて頭金は不要。
ではデメリットはどういう点だろうか。
デメリット①:カーシェアよりも維持費がかかる
マイカーを購入することに比べればかなりメリットがあるカーリースだが、当然カーシェアよりも月々の費用は掛かってくる。月額費用に加えて、手元に置いておく以上はもちろん駐車場代も掛かるし、カーシェアでは無料だったガソリン代も掛かってくる。
たとえばスマートビークルで、筆者がよく乗らされているヴィッツをリースした場合、33,000円程度掛かると見積もられた。これに駐車場代やガソリン代が掛かるとなるとなかなかの出費だ。
デメリット②:契約満了後も車を所有できない
購入の場合はその車を所有することが可能だが、リースである以上は契約満了後は返却する必要が出てきてしまう。長年払い続けていたのに、手元に残らないというのは少しさびしいものだ。ただ、最近では満了後にいくらか払うことでそのまま引き取ることもできるようになっているようだ。
カーシェアのデメリットはやはりシェアしているために起こる利用の制限だろう。その点ではカーリースはカーシェアの欠点を補うことができている。また、車を購入するときと同じように、車を選ぶことができるなど、車を所有する喜びは大きいと言える。
最大のネックはやはり金額だ。カーシェアと同条件であれば明らかに割高なのである。そのため、ちょっとした大荷物を運びたい、子供の送迎で利用したい、週末はドライブに出かけたい、など都会に住んでいて、車の利用が限定的な場合はやはり、カーシェアが最適解といえると感じた。
ただし、ライフステージの変化によって本格的に車の購入を検討が必要になった場合や、本当に車が好きだが初期費用などの経済面が気になって手を出せない場合には、カーリースは新たな選択肢としてとても魅力的なものになりそうだ。
ちょっと脱線。車を楽しむちょっと変わったカーリース
以前、ブーストマガジンでも紹介したことがあるNOREL(URL:https://norel.jp/)というサービスがある。こちらのサービスも基本的にはカーリースなのだが、特徴的な点が一つある。それは90日間で自由に車を乗り換えられるという点だ。
まだまだカーラインナップは少ないが、どの車に乗っても同じ価格で車を所有できるのだ。なんとポルシェやレクサスなんていう高級車にも乗れてしまう。
いろんな車に乗ってみたいという車好きや、ライフスタイルに応じて車を変えたいというユーザーには持って来いのサービスになっている。
これは車への興味を高めるきっかけになりそうだ。
まとめ
今回、カーシェアとカーリースを比較して思ったことは、どんなサービスを選ぶかは結局は使う人自身によって変わってくるということだ。今回のサービスで言えば、こんな感じになるだろうか。
■カーリース
比較的使用頻度の高い人に適したサービスのように感じた。通勤通学など日常的に車が必要で、かつ経済的に所有することをためらっている人にとっては、とても有効なサービスだと思う。また、期間限定で車が必要になった人にはまさに最適解といえるかもしれない。
■カーシェア
筆者のように普段は電車で移動しており、週末だけ車を利用する、またはレジャーのときだけ車を使用する人には最適なサービスだ。月額を許容できるのであれば、レジャー用のパッケージなどもありお得なので、レジャーだけの人にもオススメだ。
■マイカー
ターゲットとしてはカーリースと同じ部類に入る。ローンを払い終えれば確実にカーリースよりも安くなるし、乗り換えの場合でも中古車が高値で取引された場合は旨味もある。また、なによりも自由にカスタマイズができるので、車好きにはマイカーという選択肢はいまだに大きいだろう。
おまけ
車に乗る機会が増えると、車を持ちたくなる気持ちが強くなるのも事実。そうした物欲から今回の企画がはじまった。やはりちょい乗りだけで利用するとなった場合は、カーシェアが最強だと改めて認識した。
だが、新たな車とのつきあい方としては、自分の好きな車に乗れるカーリースは非常に魅力的でもある。筆者の車への所有欲が高まった暁には、カーリースは確実に選択肢の一つだと思った次第である。
なんだかんだ言っても車は単なる道具以上の一面があると思う。特に「スーパーカーブーム」を知っている世代であればなおさらだ。せっかく世界有数の自動車メーカーのある国に住んでいるのだから、乗らないのはなんかもったいない気がしてしまう。
カーリースやカーシェア、NORELなどのように気軽に車に触れる方法が広まっていけば、若者のクルマ離れも収束していくのではないだろうかと。
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