ニュースでも多く取り上げられている「ダークパターン」。ユーザーが気づかないうちに特定の行動を取るように誘導するウェブデザインのことを指します。この手法は、ユーザーの信頼を大きく損なう可能性があるため、企業としては避けるべきものです。世界的にも規制が強まっているため、自社サイトに意図せず取り入れていないか注意が必要です。今回は、ダークパターンの概要から種類、注意点について解説します。
ダークパターンとは
ダークパターンとは、ユーザーが気づかないうちに不利な選択をするように誘導するウェブデザインのことです。この概念は、イギリスのUX専門家ハリー・ブリグナル氏が2010年に提唱しました。
現代では、スマートフォンやタブレットの普及により、ユーザーが日常的にインターネットを使用する機会が増え、ダークパターンのリスクも高まっています。
ダークパターンが注目される背景
ダークパターンが注目される背景には、ハリー・ブリグナル氏の影響があります。彼は2010年に「Dark Patterns(現Deceptive Design)」というサイトを開設し、ダークパターンの特徴や企業事例、法規制などについて紹介しました。また、経済協力開発機構(OECD)や日本の消費者庁もダークパターンの被害が増加していることから警鐘を鳴らしています。日本では2021年6月に「特定商取引に関する法律」が改正され、2022年6月1日から施行されました。
ダークパターンの種類
ダークパターンにはいくつかの種類があります。ここでは、経済協力開発機構(OECD)が分類した7つの類型を紹介します。
行為の強制
特定の機能にアクセスするために、何かを強制的に行わせる手法です。例えば、個人情報の登録を強制することが挙げられます。
インターフェース干渉
消費者に特定の選択をさせるために、重要な情報を不明瞭にしたり、事業者に有利な選択肢を目立たせる手法です。
執拗な繰り返し
通知や位置情報などを繰り返し要請する手法です。これによりユーザーが嫌気をさすことがあります。
妨害
特定の行為を断念させるために、手続きや行動を複雑にする手法です。例えば、サービスの解約手続きを煩雑にすることが該当します。
こっそり
消費者の意思決定に関する情報を隠す手法です。例えば、無料トライアル後に自動で有料契約に切り替えることなどが挙げられます。
社会的証明
他の消費者の行動をリアルタイムで行われているかのように見せて、消費者の意思決定を促す手法です。例えば、「現在〇〇名が見ています」といった表示があります。
緊急性
時間や数量に制限を設けて緊急性を煽り、消費者に圧力をかける手法です。例えば、「今だけ」や「残りわずか」といった表示が該当します。
ダークパターンに陥らない為の注意点
ダークパターンに陥らないためには、常にユーザー目線でUI・UXを考え、「ユーザーを欺いていないか」を注意深く確認する必要があります。よくある事例として、他社サイトを参考に自社サイトを改善することがありますが、その内容をそのまま反映させてしまうと、知らず知らずのうちにダークパターンに陥る可能性があります。最終的には自分たちの目で確認を行い、ユーザーの信頼を損なわないようにすることが重要です。
まとめ
ダークパターンは事業者が優位に立つための悪質な手法であり、ユーザーの信頼を失う致命的な行為になりかねません。気づかぬうちに自社のサイトでこれらの手法が用いられていないか、入念に確認することが大切です。
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