東京に憧れる人が多い都道府県 1位は意外にもお隣さん
酒席や雑談で「県民性」が話のネタになることがあるが、その土地に住んでいる本人からすると「○○県にはこんな人が多い」と言われてもなかなかピンとこないところがある。
「県民性」とは、他県と比較して初めて浮き彫りになる。他県民の「県民性」に目を向けてみると、自分の県民性に納得がいくかもしれない。
『47都道府県格差』(木原誠太郎著、幻冬舎刊)は、さまざまなデータから都道府県の格差が示されているが、単なる数量的なデータだけではなく、性格診断ツールを用いて「県民性」を検証に取り入れている点がおもしろい。
本書のメインテーマは「都道府県の格差」なのだが、あえて「県民性」に焦点を当てて紹介してみよう。
■どの県がライバル?関東圏のライバル事情!
各都道府県には、それぞれの地方で「好意的に感じている県」と「ライバル視している県」がある。
関東圏では、その相関図がおもしろい。
埼玉県は「東京、東京の人が好き」という割合が75.8%で全国2位(全国平均は64.8%)だという。
1位は東京なので「東京に憧れる県」は、意外にも隣接する埼玉県ということだ。
そんな埼玉県民にライバル県を聞くと、圧倒的多数で「千葉県」が挙がるという。
「千葉県」がライバル視するのは「埼玉県」と「神奈川県」。
しかし、神奈川県民は千葉県を意識していない。神奈川県民がライバル視するのは「東京都」だ。
ところで、神奈川県民はちょっとひねくれているともいえる。
神奈川県民は、東京をライバル視する一方、76.5%が「東京が好き」と答えているのだ。
これは埼玉に次ぐ全国3位の数字だ。神奈川県民にとって、東京は「強敵」と書いて「とも」と呼べる存在なのかもしれない。
■「郷土愛」が一番強い県はどこ?
「上京してもやっぱり地元が好き」「地元を離れたくない」という人は多いだろう。そんな「郷土愛」が一番強い都道府県はどこだろうか?
そこで、本書から「郷土愛」の強さを示すデータを見てみよう。
まず、「岩手県」には他県にない特徴がある。
「岩手県といえば?」と聞くと、「盛岡冷麺」「わんこそば」「じゃじゃ麺」など、具体的な食べ物が並ぶのは、岩手県民だけなのだという。
迷いなく答えられるのは、強い「郷土愛」によるものと言えるのではないか。
直接的なデータだと、「静岡県」の男性は92.1%が「故郷が好き」と答えており、全国トップの比率だ。男女ともに「故郷が好き」と回答した比率で言えば、全国トップは91.5%の「鹿児島県」。2位は91.0%の「沖縄県」となる。
しかし、「愛知県」も負けてはいない。「故郷でずっと生活したい。戻って生活したい」と答えた愛知県民は75.6%で全国1位。2位は「富山県」になっている。
一口に「郷土愛」と言っても、その示し方は無数にある。愛は数字では語れないということだろう。
■幸せな都道府県はどこ?
著者は、本書で「都道府県の格差」を示した上で、「どの都道府県に住むのが幸せか?」を考えるのに役立てて欲しいと述べている。
何をもって「幸せ」とするかは人によって違うと思うが、「幸せ」と切っても切れない関係なのが「お金」だろう。
平均年収額の全国トップは「東京都」がダントツだが、同時に物価と家賃ではワースト1位だ。
物価が安いのは「群馬県」「宮崎県」「鹿児島県」。家賃の安さでは「青森県」「北海道」「宮崎県」だ。
どちらも「宮崎県」がランクインしているが、平均年収額は全国44位と低い。そこには宮崎県の県民性が影響しているようだ。
宮崎県民は「自分が浪費家である」という回答で全国トップ。「無駄遣いをしない」という質問に「いいえ」と答えた人も全国平均を下回っており、男女ともに金遣いが荒い傾向があるようだ。
他の視点で見ると健康寿命が長いのは「山梨県」。「結婚して幸せだと思うことが多い」という男性が多いのは「新潟県」や「長崎県」。仕事満足度の高いのは「石川県」などが挙げられる。
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