プリウスのレーシングカーと、市販車の違いとは?フォーミュラカーのエンジンを積む、スーパーGTプリウスがスゴイ!
日本が誇るハイブリッドカーと言えば、トヨタ・プリウス。1リッターあたり40.8kmという驚きの低燃費と、エコカー減税なども重なって、爆発的に売れています。では、それだけエコで大衆車なプリウスが、真逆に見えるレースの世界で活躍していることをご存知ですか?今回は、レーシングカーなプリウスと、その歴史をご紹介します!調べたから見えた、4代目プリウスとGTカーの違いとは?
レースの世界でも、低燃費なんです。
プリウスとは
トヨタが1997年に発売した世界初の量産ハイブリッドカー、プリウス。
初代モデルでも、リッター28kmと、同クラスの車の倍は走るほどの低燃費を実現し、大きく話題になりました。
ちなみに、これはハイブリッドの恩恵のみと思われがちですが、実際は空力や軽量化による要因も大きいとのこと。
実際、プリウスは純正で鉄よりも軽量なアルミホイールを履いており、そこに空力性能をプラスするための樹脂製ホイールカバーを装着。
また、外装についても、徹底した空気抵抗低減化がなされており、特に3代目プリウスのリアスポイラーは、ムーンクラフト代表の由良拓也さんが「プリウスのリアスポイラーは究極。後付けは何をやっても性能が悪くなる。」と語ったほどです。
なお、初登場時点ではそこまで爆発的なセールスはなかったものの、ハイブリッドカーが認知されたことや、2009年から始まったエコカー減税なども重なって、2代目・3代目・4代目プリウスは爆発的に売れました。
現在は、世界93ヶ国で販売されており、間違いなく日本が誇る名車です。
では、そんなエコとは真逆に見えるレースの世界ではどんなプリウスが活躍しているのでしょうか?
とにかく速く走るためにはなんでもする、レーシングプリウスを次の項目で見てみましょう。
レーシングカーとしてのプリウス
今回ご紹介するのは、スーパーGTで活躍したプリウスたち。
市販車の面影があるような無いような…そんなマシンを成績とともに見ていきましょう。
2012:#31 apr HASEPRO PRIUS GT
ゼッケン31、新田守男選手と嵯峨宏紀選手がドライブしたaprハセプロプリウス。なお、このペアは3年後まで続きます。
シーズンは10番手で終えることとなりましたが、第6戦富士では2位表彰台を獲得。デビューイヤーにも関わらず、速さをみせています。
3代目プリウスのZVW30型を使用したこのマシンは、元々搭載されていた1.8リッターの直列4気筒エンジンではなく、フォーミュラニッポン(現スーパーフォーミュラ)で使用されていた3.4リッターV型8気筒エンジンを搭載。
また、駆動方式もFFからMRに変更。プリウスでありながらプリウスではないようにカスタムされた別のマシンと化していました。
しかし、ハイブリッドユニットなどは、市販車のものを使用。レースの現場でさらなる開発に挑むということと、市販車部品の耐久性の両方を証明しています。
なお、燃費に関しても他のGTマシンとは一線を画すものがあり、給油時間の短縮に成功。
登場から2016年まで、様々なレースで低燃費を活かした戦略を見せてくれるのもプリウスの魅力です。
2013:#31 Panasonic apr PRIUS GT
昨年と同じく、新田守男選手と嵯峨宏紀選手ペアのパナソニックaprプリウスGT。
シーズン成績は8位と、前年より2つアップ。しかも第2戦富士では優勝、第6戦富士でも2位表彰台を獲得しています。
前述の通り、元々のマシンの空力性能は高く、車自体も他車に比べて小さめ。これによって、JAF-GT勢が苦手とされるストレートスピードをかなり稼ぐことに成功。
富士での勝利の理由は、この辺りにあったのではないかと思われます。
また、この年のシリーズチャンピオンはホンダ・無限CR-Z GT。ハイブリッド車初の優勝は、ホンダに取られてしまうこととなりました。
ちなみに、プリウスには、レーシングカーとしては珍しいエアコンが積まれていたとのこと。
車内のハイブリッド部品が熱に弱いためだそうですが、結果的にドライバーがセッションの合間になかなか降りてこないなんてことがあったとかなかったとか。
2014:#31 OGT Panasonic PRIUS
青系のボディから一気にオレンジ系に!OGTパナソニックプリウス!
ドライバーは昨年と変わらず、新田守男選手と嵯峨宏紀選手です。
シーズン成績はまたも8位。第6戦の鈴鹿1000kmと第8戦のもてぎで2位表彰台を獲得しています。
前年との大きな違いは、大きなリアウィング。2014年からはつりさげ型のGTウィングになっています。
その他にも、ミラーの位置やカナードの有無など、かなり細かいところが変更されており、徹底して空力を追求したカスタムが行われていることは間違いありません。
2015:#31 TOYOTA PRIUS apr GT
トヨタプリウスaprGT!2015年は、ドライバーラインナップが、嵯峨宏紀選手と中山雄一選手に変わりました。
この年の成績はなんと3位(※チームで見ると2位。ドライバーズランキング1位のアンドレ・クートと2位の千代勝正が同じチームでありながら、ポイント差があるためにこのランキング)。
開幕戦の岡山で優勝すると、安定して入賞圏内を走り、第6戦SUGOでは2位、最終戦もてぎでも優勝と、安定した速さで一年間を戦い抜きました。
昨年のプリウスと比べてみると、やはりエアロパーツがかなり変わっていることがわかります。
カナードや後ろのドアについたダクト、リアフェンダーとディフューザーの形状など。
市販車からかけ離れたルックスではありますが、3代目最後となった2015年モデルが、最も洗練されたデザインなのではないかと思います。
興味のあるプリウスオーナーの方は、カスタムしてレプリカを作ってみたら面白いかもしれません!
2016:#30 TOYOTA PRIUS apr GT
2016年からは2台体制!ゼッケン30は永井宏明選手と佐々木考太選手のペア。
マシンも4代目プリウス(ZVW50型)に変わり、シャープなデザインに変わりました。
なお、後部ドアのダクトなど、意外なことにエアロパーツは先代と似通った形状のパーツが多いです。
これによって、ボディの基本形状が変わっていないことかつ、プリウス自体の空力性能の基本構造が非常に高いため、各部を細かくアップデートを繰り返しているということがわかりますね。
2016年も第6戦を終えて、現在19位とかなり厳しい状況ですが、残り3戦をどのように活躍するのか期待です!
2016:#31 TOYOTA PRIUS apr GT
ゼッケン31は、プリウスに乗って5年目の嵯峨宏紀選手と、昨年からの中山雄一選手コンビ。
第6戦終了時点では38ポイント獲得でなんと2位!第4戦SUGO優勝と第6戦鈴鹿1000km2位が効いており、残り3ラウンドは絶対に目が離せない状況です。
ランキング1位のBRZとは9点差。そして2位から6位までのポイント差は5点以内!今年のプリウスは、どうなるのか?楽しみですね!
なお、2016年仕様については、形状がよくわかる動画があったので、あわせてどうぞ。
内装の違いはもちろんのこと、市販プリウスと並べた写真で見ると高さが全然違います。
特にわかりやすいのは、ボンネットの高さと、テールレンズの高さの違い。
テールレンズの上端と、リアタイヤの上端の高さがほぼ同じぐらいかテールレンズのほうが低いかもしれません。
本気でカスタムしてレプリカを作るためには、別のベースマシンが必要なレベルですね。スバルサンバーとか。
では、これが市販車とどれぐらいサイズが違うのか、比較していってみましょう。
まずはGT車両のスペックから。
スーパーGT GT300 プリウス(2016年式)スペック
全長×全幅×全高(mm):4620×1950×1190
ホイールベース(mm):2700
車両重量(kg):1100以上
駆動方式:MR
エンジン:RV8K型 V型8気筒 DOHC
排気量:3399cc
最大出力(エンジン単体):約300ps/ –
最大トルク(エンジン単体):- / –
モーター:1LM型(トヨタアクアと同型と言われています)
最大出力(モーター単体):61ps (※)
最大トルク(モーター単体):17.2kgm(※)※モーターの性能に関しては、アクアのスペックより掲載しています。
ここまで紹介してきたレーシングプリウスと市販車の違いとは?
次のページで、プリウスの歴史とともに振り返ります。
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