文:水谷祐司
ヴィンテージバッグと聞いて皆さんはどんなことが思い浮かびますか?「古臭くて使えない」「メンテナンスが大変」「価格が高くて手が出ない」・・・。たしかにそういったバッグも中にはあるかもしれません。しかし実際はリーズナブルな価格で購入できて、今でもガンガンに使えるヴィンテージバッグはたくさん存在します。
ということで今回は、ワタクシが所有している私物バッグを種類別ご紹介、皆さんを魅惑のヴィンテージバッグの世界へ誘いたいと思います。
なお各バッグの詳細については、下で紹介しているワタクシのブログ記事をご覧ください。
これは外せない!ヴィンテージバッグの3つの魅力
①どこにもない“唯一無二”を所有することができる。
新品の時はどれをとってもまったく同じ顔つきのバッグですが、数十年という長い時間の間についた皺(シワ)や傷などにより独特の表情を見せてくれるようになります。一つ一つに個性が現れ、“唯一無二”の存在になる。そういう意味でヴィンテージバッグはとってもユニークなところが魅力です。
②映画でしか知らないような歴史を身近に感じられる。
『沈没した豪華客船タイタニック号から引き揚げられたルイ・ヴィトンのトランクには、一切水が入っていなかった』。ルイ・ヴィトンのバッグにまつわる有名な逸話です。ヴィンテージバッグが好きになるとそのブランドの成り立ちを知りたくなりますが、歴史あるブランドの場合、その逸話がすこぶる面白い。ヴィンテージバッグを手にすると、教科書や映画などでしか知らなかった世界を身近に感じることができます。
③リーズナブルな価格で手に入れることができる。
たとえば下で紹介しているルイ・ヴィトンのトランク。新品なら50~60万円ほどしますがワタクシは10万円台で購入することが出来ました。他のブランドバッグも同様に、新品よりもグッとリーズナブルな価格で手に入れています。ヴィンテージとは言うものの、要は中古品。プレミアムがつくなどしない限り、そのほとんどをお安く手に入れることが可能。ブランドバッグの入門編として気軽にヴィンテージバッグを購入する、という考え方もありますね。
トランクからスポーツバッグまで。私物で見るヴィンテージバッグ
言葉でどんなに説明しても、ワタクシの拙い文章力ではヴィンテージバッグの魅力は伝わりきらないと思うので、私物のヴィンテージバッグを種類別にご紹介します。
『ルイ・ヴィトン』~ハードトランク~
1854年に初代ルイ・ヴィトンが旅行カバン専門アトリエをオープンしたのがブランドの発祥。それまでの蓋の丸い形状のものから積み上げやすい平らなデザインに変え、さらに革が主流だった材質を軽い防水加工を施したコットンに変えることで、今までになかった堅牢でありつつも軽く運びやすいトランクを発明。以来、世界中の人々の旅の傍らにあり続けたルイ・ヴィトンのトランク。
この間に培われた伝統的なノウハウが凝縮されたのがこちらの「コトヴィル」。コンパクトながら収納性抜群。あちこちに見られる傷やハンドルのヌメ革の黒ずみなどに風格すら感じる「これぞヴィンテージバッグ」な逸品です。
『グッチ』~ソフトトランク~
現在でも世界中にファンがいるグッチのバッグですが、一部の好事家の間では、創業家であるグッチ一族が経営していた80年代までの作品を「オールド・グッチ」と称され、熱心なコレクターが存在するようです。他のハイブランドと比べて、ユニークかつ個性的なデザインの豊富さは群を抜いていて、今でもまったく古さを感じさせません。
また当時のグッチではイタリアの職人さんが少量を一点一点作り上げていたために、全く同じデザインを探すのが難しく、現在残っている品のほとんどが「1点モノ」といってもいいほど。現存するものはすべて“ユニーク”であるという点が、さらにコレクション欲を掻き立てるわけですね。
『グローブトロッター』~アタッシュケース~
1897年に誕生、現存する英国最古のスーツケースブランド、グローブトロッター。英国で発明された新素材ヴァルカンファイバーを採用していることで知られていますが、特殊な紙を何層も重ね樹脂でコーティングされた同素材で作られたバッグは、紙で出来ているとは思えないほど丈夫で軽量。また巨大な象が乗っても決して壊れないと言われるほど堅牢です。あのエドモンド・ヒラリーがエベレスト登頂の際にベースキャンプに持っていくケースに指名し、冒険家の支持も集めたという逸話にも納得。
ワタクシが所有しているこちらのアタッシュケース、前所有者によると1950年頃~1960年頃のモノということですが、ご覧のように色落ち感がヴィンテージデニムのようで、とっても味わい深い。これもまたヴィンテージバッグの魅力ですね。
『アディダス』~スポーツバッグ~
いわゆるスポーツバッグにもヴィンテージが存在するのをご存じですか?こちらはご存じアディダスのスポーツ用バッグで、70~80年代頃まで同ブランドのバッグを製作していたPETER BLACK社製のもの。生産はWEST YORKSHIREのmade in England。ハイクオリティーなモノ作りで有名な会社が手がけているだけあって、30年以上経った今でも現役で活躍。
パッと見はレザーのようですが、素材は上等なPVC(塩化ビニール)素材。ヴィンテージでもガンガン使えるのが魅力です。
ヴィンテージバッグも日々のマメなケアが大事
ヴィンテージといっても同じバッグなので、 メンテナンス方法は新品とほとんど変わりません。革のメンテナンス方法については色々な情報がありますが、汚れはシミにならないうちに早めに落とし、傷も深くならないうちにケアをするというマメなケアが重要です。
また乾燥すると、カサついてヒビ割れや傷の原因になるのは人間の肌と同じ。スキンケアのように常に潤いを保つことが必要です。「乾いているなあ」と思ったら保湿や栄養を与えるクリームを塗りましょう。なおPVC(塩化ビニール)素材の場合は、薄めた中性洗剤を含ませた濡れたクロスで拭けば汚れを落とすことが出来ます。
バッグ内部のケアについては、使い終わったら中身を取り出してブラシなどでホコリやゴミを取り除くのが基本。さらに湿気対策も重要で、使用しない時は新聞紙を一杯に入れると湿気を防ぐと同時に型崩れ防止にもなります。湿気や汚れなどはバイ菌の格好の餌となり、カビやベタつきが発生してバッグにダメージを与える原因になるので要注意です。
さて今回の「ようこそ。ユニークなヴィンテージバッグの世界へ」特集は、如何でしたでしょうか?これを機に是非気軽にヴィンテージバッグに触れていただければと思います。
6回にわたってお送りしてきた当連載ですが、今回が最終回となります。短い間でしたがおつきあいいただき有難うございました。この続きは「Mのブツ欲日記」でお楽しみください。
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水谷祐司さん
30~50代男性のファッションリーダーとして、知る人ぞ知る人気ブロガー。2005年8月から「Mのブツ欲日記」(http://m-butsuyoku.blog.so-net.ne.jp/)というタイトルのブログを運営。月間30万PVを誇るブログには、水谷さんがオススメするモノならぜひ入手したいと思う熱心な読者がたくさんいる。現在では、ブログ以外にも商品開発や雑誌の企画協力などにたずさわっている。
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