オーロラ旅行を計画する前に知っておいてほしいこと
自然界にはまだまだ私たちの知らない世界があります。皆既日食の最中に吹く妙に涼しい風。空を旋回する何千羽ものむくどりの群れ。どれも地球のすばらしさを感覚で体験することであり、そうした現象が発生する原因は解明されていてもなお、私たちは自然の神秘をあらためて感じます。
オーロラも地球の神秘の1つです。オーロラが発生するメカニズムは解明されていますが、そのすばらしさは身をもって体験して初めてわかるのもです。そのため、オーロラを見る旅や休暇にわざわざ出かける人があとを絶ちません。オーロラを見る旅をしようと考えているなら知っておいたほうがいいことを以下にご紹介しましょう。
そもそもオーロラとは何か?
色のついた光がうねり、この世の物とも思えない光景を生み出すのは、地球と宇宙に特有の現象が発生した結果です。磁界圏(これがあるおかげで太陽熱の放射から地球は保護されています)が太陽風によって乱れると、「上層階で粒子が窒素や酸素とぶつかり合ってイオン化し、再びそうした粒子同士が結合するとき光を発することになる」と天体物理学者でNASA研究員のKhee-Gan Leeさんは説明しています。
たいていは、明るくキラキラした緑や水色のシェード状に見えますが、ごくまれに赤や青の光も見られることがあります。「こうした再結合線は、太陽光のような広いスペクトルではなく、レーザーのように特定の狭い波長の光線で発生するため、独特の色が現れます」とLeeさんは言います。これらは虹のような静的な光でなく、太陽風に反応して動くのですが、そのとき地球の磁力線が持つ自然な「弾力性」により、うねりが発生します。
南極あるいは北極から10-20度の緯度の地帯にあり、幅は緯度3-6度ぐらいしかないオーロラ帯で、暗い夜空を背景にしてしかこの光は見ることができません。そのため、「極地の光」とも呼ばれることもあります。
オーロラが見える場所
オーロラが自然発生する北極圏か南極圏の近くに住んでいない限り、このゴージャスな光景を見るには旅をしなければなりません。アイスランドは、アメリカ東海岸からアクセスしやすく、イギリスやヨーロッパに向かうフライトの経由地でもあるので、人気のロケーションです(アイスランド航空とWOW航空はどちらも無料のストップオーバーを提供しています)。
ラップランドは、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、ロシアの北部地域を含むサーミ文化圏で、こちらもオーロラを見るには最適のエリアです。アメリカのアラスカとカナダのユーコンも、北米内でオーロラを見たい人にはおすすめです。
また、スコットランドの島々や高地でも見ることができます(ただし、上述した他のロケーションに比べて曇りがちなので、見えるときが限られます)。南半球では、オーロラは「南天オーロラ」として知られており、オーストラリアとニュージーランドの最南端、南米のチリ、アルゼンチン、南極でも見ることができます。
どこにオーロラを見に行くにしても、時間に余裕のある旅程にしましょう。オーロラは、月の満ち欠けや潮の満ち引きのように決まったスケジュールで発生するわけではないからです。そうはいっても、事情通なら短期的な太陽のフレア活動を基に合理的な予測は可能です。北半球でオーロラ観光をするなら、11月から3月初旬が最適です。南半球だと、逆に3月から南半球の冬にあたる季節にかけてが最適です。
Lola Akinmade Åkerströmさんは、ストックホルムを拠点とする受賞歴のある作家であり、ナショナルジオグラフィッククリエイティブの写真家でもありますが、オーロラを5回見たことがあります。同氏は、どこにオーロラを見に行くにしても、少なくとも3〜5日はオーロラ観測に充てるように旅程を計画すべきだと言います。そうすれば、そのうちの少なくとも1晩ぐらいは、オーロラが観察できて良い写真が撮れるのだそうです。
また、オーロラ観光のエキスパートである地元のガイドを雇うこともすすめています。
“そうしたガイドは、オーロラを見るには、どこ行くべきか、特にいつ行くべきかがよくわかっていて、オーロラのウェブサイトやNASAの情報を常にチェックしているからです。”
どのように見えるか
人類がまだほとんど解明できていない宇宙の力が繰り広げる光のショーが見られると思ってください。 オーロラの光は帯状になったり、線状になったり、上空に広がったりします。
また、光の波紋が現れたり消えたりするなど、さまざまな動きを見せます。 オーロラの写真をうまく撮ることはなかなか大変なので、写真を撮りたい場合は、ガイドブックの1冊や2冊は読んで準備して行きましょう。 いうまでもありませんが、暖かい服装で行くことが大切です。凍えるつま先に気を取られてオーロラをしっかり楽しめないといけませんから。それから、何か音も聞こえるかもしれません。これについては、何年も議論されてきましたが、最近の科学でオーロラは静かで不気味な音を出すことが実証されています。
Åkerströmさんの最も記憶に残るオーロラ体験は、スウェーデン北部のNutti Sami Siidaのトナカイ・ロッジに滞在したときだったそうです。 「Anders Kärrstedt長老が用意したトナカイの簡単な夕食のあと、彼は私たちがいた木造のロッジから出て暗い冬の夜へと歩き出し、オーロラの兆候が無いか水平線を見つめました」とÅkerströmさんは語っています。 Kärrstedt長老は優しい光があちこちでちかちか輝くと、2、3時間後にオーロラが現れると予測しました。 「時計のように正確に、午後9時を数分過ぎるとオーロラが現れはじめ、鮮やかな緑、紫、ピンクの光の波が空一面に広がりました。」その土地に関する知識と経験を駆使してKärrstedt長老が光のショーが最高になるときを予見してくれたおかげだとÅkerströmさんは語っています。
運が良ければ飛行機の窓からも見える
実は、北極あるいは南極付近を飛ぶ長距離路線の飛行機からオーロラが見えるのは珍しいことではありません。 航空業界では「北極回り」または「サンタの近道」と呼ばれるこれらの空路は、1998年から開通しており、地上から数マイル上空で見る北極光と呼ばれるオーロラは独特の見え方になります。
必ず窓際の席を選び、北極に近づくタイミングを座席に搭載されているガイダンスで確認し続けましょう。シアトルに拠点を置く作家のCat Bohannonさんは、2003年に中国からアメリカに帰国する途中、ベーリング海の上で機内を会話がひそひそ飛び交うのに気づきました。
「窓の外を見ると、大きなリボン状の色のある光が空をくねくねと蛇行していました」とBohannonさんは米Lifehackerに語っています。
“地上からたった2、3マイル上空を飛ぶ飛行機からこれが見えたのは実に不思議でした。私の眼はその光のリボンに釘付けになりました。 上空にいると、オーロラの構造も、高さも、大気中のどこで止まり、どこで動きだすかもしっかり見えます。 まるで生き物のように動くのも良く見えます。”
Image: strolicfurlan/Flickr
Source: Scientific American, Twitter, Lola Akinmade(1, 2), National Geographic
Starre Julia Vartan – Lifehacker US[原文]
(訳:春野ユリ)
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