iPhone 8レビュー:買うべき人が見えてきました
2世代以上前のスマホ使ってる方、ご検討を。
2017年9月22日、iPhone 8が発売になりました。今回はiPhone Xもあるので、iPhone 8に関してはテンション低め…という話もありますが、それでもiPhone 7から正当進化した一番新しいiPhoneであることには違いありません。そんなわけで米GizmodoのAdam Clark Estes記者が、「iPhone 8を買っちゃうべきか、iPhone Xを待つべきか?」というみんなの疑問に答えるべくレビューしています。以下、Estes記者です。
今年Appleは今までの慣例を破り、新しいiPhoneをふたつ出してきました。iPhone 8に、iPhone Xです。って、どうしろってんでしょうね? たしかにiPhone Xはすごそうなんですけど、iPhone 8だって相当素晴らしいデバイスです。
iPhone 8
・価格:700ドル(日本価格7万8800円)から
・これは何?:iPhone 7よりちょっといいiPhone
・好きなところ:ワイヤレス充電
・好きじゃないところ:本当にiPhone 7よりちょっと良いだけってこと
このレビューを読んでくれている方の疑問は多分ふたつ。今iPhone 8を買うべきなのか、それとも少し待ってiPhone Xを買うべきなのか? それをはっきりさせたいということでしょう。その答えは…一筋縄じゃいきません。
iPhone X、そしてその本体いっぱいに占めるスクリーンは、先日のiPhone発表イベントの主役でした。でもだからって、iPhone 7からちょっとだけリデザインされたiPhone 8が、iPhone Xよりはるかに手頃で素晴らしい端末であることを否定する必要はありません。僕はiPhone 8を一週間使ってみた結果、この安い方のiPhoneが多くの人にとってパーフェクトであることに気づききました。
iPhone 7とどう違う?
町中でiPhone 8を見かけたら、多分iPhone 7だと思われることでしょう。全体的なデザインは同じですが、ただ背面が金属じゃなくてガラスになってます。まるでツヤ出し用の塗料か、マニキュアみたいなものが塗ってあるように見えます。
iPhone 7とiPhone 8のその他の違いは、もっと見えにくいところにあります。Appleによれば、iPhone 8には「スマートフォンではもっとも丈夫なガラス」が使われています(ただしストレステストの結果、違いはわずかで、iPhone 8だって傷もつくし割れることもありますが)。あとRetinaディスプレイにはTrue Toneテクノロジーが採用され、周りの環境に合わせてホワイトバランスを調整するそうです。これはiPhone 7と並べてみるとはっきりわかり、iPhone 8の方が見やすくなったと思います。
iPhone 8はカメラも、1200万画素と画素数は同じですがセンサーが新しく、より大きくなり、またフラッシュや光学手ぶれ補正機能もアップグレードされています。さらにiPhone 8 Plusならポートレートライティングなる機能が使えて(僕的にはギミックに過ぎませんが)、たしかに楽しいです。
プロセッサは6コアのA11バイオニックチップで、写真やARアプリに最適化されています。
それからiPhone 8は、ワイヤレス充電のQi規格に対応しています。
使用感
多くの人はスマートフォンをたくさんのシンプルなことと、いくつかの複雑なことに使っています。多分テキストメッセージはたくさん、メールチェック、時々電話(ちなみに電話に関してはノイズが入ることをAppleも認めていて、アップデートで対応予定です)。ソーシャルメディアとか銀行系、ニュースといったアプリ。写真と、ちょこちょこ動画。プロセッサに負荷のかかるゲームをプレイする人もいるかもしれません。
こういう普通の使い方だと、今iPhone 7とかAndroidのフラッグシップ端末を使っている人がiPhone 8を使っても、ほとんど違いを感じないと思います。でも僕はiPhone 8を使ってみて何度か、特にシムシティをプレイしているとき、A11チップの威力を感じることがありました。まずアプリの立ち上げにかかる時間が半分で済みます。ゲームプレイも、iPhone 7のときは街中を歩き回るときにカクカクしてたのが、iPhone 8ではスムーズになりました。
今回新しくなったのはARで、A11チップはここで生きてきます。App StoreにあるARゲームはまだ数が限られているものの、いろいろ試してみるとほんとに楽しいです。たとえばiPhoneイベントのデモで紹介されていた『The Machines』は、良い意味で複雑でリアルです。僕の家のリビングが一瞬にして未来感あふれる戦場になり、ゲームプレイはシムシティと同じように滑らかでした。同様にゲームの『Monster Park』とか、「Giphy」、「Ikea Place」といったゲーム以外のARアプリも、ラグがまったくなく楽しめました。
ただ知っておいた方がいいのは、こういうARアプリは、iPhone 7でも十分問題なく楽しめるってことです。多分Appleは、スペックに縛られずになるべく多くの端末でARが使えるようにiOS 11を作ったんでしょうね。それでもAppleいわく、A11チップだとARアプリがより安定して、リッチなディテールを表示できるそうです。下の画像のベンチマークテスト結果でみても、A11(左)はA10(右)のパフォーマンスを上回っています。
カメラ
iPhone 8のもうひとつの微妙なアップグレードは、カメラです。iPhone 7同様、iPhone 8では1200万画素、F値1.8のカメラを搭載しています。Appleのスペック表を見るだけだと、iPhone 7とiPhone 8のカメラのスペックは、まったく同じです。強いて言えば、iPhone 8 Plusでポートレートライティング(しかもβ)が使えるようになったくらいです。ただiFixitの解体レポートによれば、iPhone 8ではセンサーのサイズが若干大きくなっていて、その分ピクセルはより深く、色はリッチになり、暗い環境でのパフォーマンスが改善しているはずです。また解体によって4つの磁石があることもわかっていて、それが手ぶれ補正の精度向上につながっているようです。あとはA11チップで、画像処理能力も上がっていると思われます。
そんなわけでiPhone 8のカメラ周りはハード・ソフトともにアップグレードされてはいるんですが、それでも撮れた写真からその違いに気づく人は少ないと思います。僕はiPhone 7とiPhone 8でいろいろなセッティング(晴れの日、くもりの日、暗め、真っ暗)で同じ写真を撮ってみたんですが、一応この種の画像を見分ける訓練をしてきた僕でも、目を細めたり頭をひねったりいろいろやって微妙な差がわかるという感じでした。たしかに違いはあるんですが、それはそのときそのときの状況に依存するんです。
下の写真はすべて、iPhone 8とiPhone 7で同時に撮ったものです。短く言うと、たしかに特定の状況ではiPhone 8の方が色がリッチに出ています。あとは暗いところでの映りもやや改善しているようですし、新しくなったフラッシュも前よりずっと良くなっています。
・晴れの日
iPhone 8の方が青の色味の幅が広がっています。どちらも、スマートフォンの写真としては素晴らしくディテールが撮れています。
・暗いところ
iPhone 8の方が、赤が際立っています。でもどちらもやっぱりきれいに撮れてます。
・くもりの日
ここでもiPhone 8の方が、赤がさらに赤いのがわかりますが、それ以外はほぼ同じです。
・真っ暗なところ
見分けにくいんですが、iPhone 7 Plusでは一番暗いところに、iPhone 8 Plusでは見えないノイズがあります。
・フラッシュ
iPhone 7 Plusではフラッシュのせいで背景が真っ暗になっていますが、iPhone 8 Plusではスローシンクロ機能によって背景のディテールもちゃんと写っています。
・ズーム
上でも書いたように、iPhone 8 Plusの方が赤が引き立っています。光学ズームの性能自体は同じです。
・ボケ
ボケ具合に違いは見られませんが、やっぱりiPhone 8 Plusの方が赤が強くなっています。
・ポートレート
一番左の画像の方がより青らしい青が出ていますが、ポートレートそのものは同じように見えます。真ん中の画像は、ポートレートライティングモードのスタジオ照明オプションで撮りました。
…というわけでiPhone 8とiPhone 7のカメラを比較してみましたが、純粋な画質という意味では、僕には違いが感じられませんでした。フラッシュに関してはちょっと良くなっていますが、僕にとってはフラッシュは一番使わない機能なので、そんなにうれしくありません。
意外な最強ポイント:ワイヤレス充電
多分、ええええ?って言われるとは思いますが、僕も自分がまさかここでこんなこと書くとは思ってなかったんですが…iPhone 8の最強のポイントは、ワイヤレス充電です。
でも本当に、僕みたいなめんどくさがり屋にとっては、これだけでもアップグレードする価値があると思うくらいです。たしかに元々僕は、ただワイヤレスパッドにiPhoneを置けば充電できるったって、それだけじゃ全然うれしくないだろうと思ってました。Androidではもう何年も前からできてることだし、充電ケーブルを挿すのだって大した手間じゃないだろうと。でも使える環境さえちゃんと作れれば、ワイヤレス充電は驚くほど便利です。
僕の充電に関する習慣は非常にルーチン化していて、だからワイヤレス充電なんかなくてもいいと思ってたんです。寝るときにケーブルを挿す、朝になったら抜く、日中バッテリーが少なくなったらオフィスで充電する。毎晩の充電は簡単で、ベッド横で充電中にiPhoneを手にとって、ケーブルがつながってるのを忘れて水の入ったグラスを落としてガラスは割れるわ水はこぼれるわの騒ぎ…なんてこともありましたが、それは大したことじゃありません。でも今回、オフィスに充電パッドを置いたことで大きな変化が訪れました。デスクにいるときはパッドにiPhoneを置いておき、ミーティングのときはそこから取り上げ、戻ってきたらまたパッドへ。充電できるまでそれを繰り返すだけでいいんです。
iPhone 8、誰が買うべき?
というわけで、僕がiPhone 8を気に入ったのはおわかりいただけたかと思います。iPhone 7よりは少し好き、iPhone 6よりはだいぶ好きです。その立場から、僕がもしみなさんの立場で新しいiPhone購入を検討してるならどう考えるか、以下にまとめます。
もしiPhone Xが欲しい!んだとしたら、そのまま10月末のプレオーダー開始まで待って、買うと思います。多分品薄になるので、幸運を祈りします。あと、最低1000ドル(日本国内価格11万2800円)必要です。
もし今iPhone 7を持っていて、気に入っていて、ちゃんと使えてるとしたら、iPhone 8は必要ありません。それでもどうしてもiPhone 8が欲しくて止められなければ、結局iPhone 8を買うかもしれませんが、その必要はないんです。iPhone 7は、ワイヤレス充電以外のほとんどをiPhone 8と同じようにこなせます。なので今iPhone 7を使っている人は、次がiPhone 9になるかどうかわかりませんが、とにかく来年出てくる何かを待つのがいいと思います。
でもiPhone 6かそれより前のiPhoneを使っている人なら、iPhone 8を欲しがるべきです。新しいデザイン、進化したカメラ、よりパワフルなプロセッサ、さらにワイヤレス充電によって、きっと世界が変わります。今の端末を長いこと使ってバッテリーも劣化している人なら、iPhone 8のバッテリーライフの長さで生活も変わることでしょう。我々のテストでは、iPhone 8だと動画再生が約13時間可能、iPhone 8 Plusではさらに長くなることがわかっています。
そして何よりiPhone 8を手に入れれば、2年くらいは次の未来が来ても使えるはずです。もちろんもっと良い端末はどんどん出てきて当然ですが、少なくとも現段階では、これが最良のiPhoneなんです。少なくともiPhone Xが発売されるまでは、ですけどね。
Image:Adam Clark Estes
Adam Clark Estes – Gizmodo US[原文]
(福田ミホ)
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