連載形式で、プラモデルの作り方を教わっていく本シリーズ。講師のオオゴシトモエさんは、数少ない女性プロモデラーとして活躍中で、なんとこれまでに制作したプラモデルは1,000体以上。2000年にプラモを作る企画に参加したことがきっかけでプラモデルの魅力に開眼。以来、メディア露出のある初の女性プロモデラ―として多方面で活躍を続け、今年で18年目を迎える。
>>今から始めるプラモデル作り 第1回 工具・塗料編<<
>>今から始めるプラモデル作り 第2回 接着編<<
>>今から始めるプラモデル作り 第3回 スプレー塗装編<<
>>今から始めるプラモデル作り 第4回 部分塗装編<<
さて、前々回でプラモ全体の塗装、前回で戦車に付いている小道具などの部分塗装を終え、基本的な工程はほぼ終了した。今回は、基礎工程の最後となる、水転写式のデカール(※1)貼りのやり方をレクチャーしていく。水転写式のデカールは、シートを水で濡らして、マークをスライドさせて貼るのが特徴。「水転写式デカール」「スライドマーク」とも呼ばれている。普通の粘着式のシールとは扱い方が違うので、作業手順とポイントをしっかりと確認してほしい。
※1 デカール : 水に浸して水分を浸透させることで貼ることができる特殊なシール。エンブレムなどの塗装を再現するために使用される
1.シールを綺麗に貼るために必要なものを揃える
まずはこのセットを準備してほしい。どれもデカールを綺麗に貼るために必要なので、必ず揃えてから作業に入ろう。
2.説明書を確認
説明書にデカールを貼る位置の指示が記載されているので、よく読んでデカールを貼る場所や向きを確認する。キットによっては複数のパターンのデカールが付属しており、選択式になっているものもある。間違えて貼ってしまうと貼り直しの際にデカールが破れてしまったり修正が大変なので、説明書の指示とデカールの番号をしっかりと確認して作業を始めよう。
3.台紙を切る
デカールの台紙を切っていこう。水転写デカールをきれいに貼るポイントは貼る部分のデカールだけをカットして1枚1枚貼ること。台紙ごと水につけてしまうと、デカールのノリが全部溶けてしまって、必要ないマークも台紙からはがれてしまったり、粘着力が弱まって貼れなくなってしまう。面倒でも1枚1枚丁寧に切り離して貼ろう。台紙はプラモには貼らないので、あまり綺麗に切ろうとしなくてOK。むしろシールを切ってしまう危険もあるので、あくまで余裕を持って切るのがオススメだ。
4.デカールを水につける
台紙を切り終わったら、ピンセットで優しく掴んで水につけよう。
デカールは薄く、すぐに破けてしまうこともあるので、ピンセットなどでキズをつけないように注意する。デカールを水に30秒ほど浸したら、水から引き上げてさらに30秒~1分程度置く。
5.実際にプラモに貼っていく
ピンセットを使って貼る場所にあてがったら、デカールを優しく抑えつつ、台紙を右にずらしていく。そうすると台紙が取れ、デカールだけを貼ることができる。この際、台紙がずれていかない場合は、デカールのノリが十分溶けていない可能性があるので、再度、デカールを水に浸して30秒ほど待ってみよう。
デカールが貼れたら、綿棒を使って、デカールの水分をふき取り、密着させる。綿棒は寝かせた状態で中心から外側に転がすように動かしていく。こうすることで、デカールとキットの間に入った水や空気を押し出すことができ、しっかりと密着させることができる。
6.貼るのが難しいところは・・・
表面が凸凹していて貼りづらい箇所は、このマークセッターを塗るのがオススメだ。デカールを貼る箇所にこれをひと塗りしてから貼れば、しっかりと固定できる。
7.完成品
こちらがデカールを貼り終わったあとのもの。塗装では再現できない、マークや文字などの情報が入ることでより情報量が増え、精密感が増した。
最後に、つや消しスプレーを数回に分けて吹きかけることで、デカールがすぐに剝がれないよう保護が出来る。つや消しスプレーを吹く際には、デカールを貼って1日後がおススメ。デカールを貼ってすぐにつや消しスプレーを塗装すると、デカールを貼ったときに使用した水が完全に乾いておらず、つや消しスプレーが揮発不良を起こし、白く濁った状態になることがある。しっかり乾燥させて次の工程に移ろう。
次回からはいよいよ戦車プラモの醍醐味とも言える“汚し作業”に移っていくので、楽しみにしていてほしい。
- ブーストマガジンをフォローする
- ブーストマガジンをフォローするFollow @_BoostMagazine_