「すべてを見てますから」アナタのことをもっと知りたいFacebookが不気味な特許を3つ申請しました
特許で終わってくれればいいんですが…。
今やソーシャルメディアは、多くの人にとって日常の一部と化しました。豊かな先進国から戦争や内戦に苦しむ途上国まで、あらゆる人々が日々自分の感情や情報をソーシャルメディアで発信し、受信しています。悪い言い方をあえてすれば、小説や映画以上に、リアルな人間の感情を売り物にしているソーシャルメディアにとって、ユーザーが何を感じているかを知るのは永遠の命題とも言えます。先日発見されたFacebook(フェイスブック)の特許申請は、たとえ不気味に見えてでも、それを更に推し進める方向性を明確に表しているように見えます。
テクノロジーアナリティクスを行なうCB Insightsによって先月発見されたFacebookの3つの特許申請は、ユーザーの感情の力を活用し、提供する情報を選別したり、新たなコミュニケーションの方法を提供するためのものです。その中には、ユーザーのカメラを使って表情から感情を読み取る、という実に不気味なシステムも含まれていました。
まず、先程のカメラを使って感情を読み取る機能ですが、Mashableによると、これはスマートフォンのフロントカメラやパソコンのウェブカメラを使い、ブラウジングしているユーザーをバックグラウンドで録画して、記事や写真、動画に対する表情の変化を記録します。次に、ユーザーに同じような感情を喚起させるコンテンツをニュースフィードに流すのです。たとえば、可愛いネコの動画をみてニコニコしていると、フィードにネコの動画が沢山出るようになる、という具合です。それだけなら無害にも思えますが、自分の顔を常に監視されて気持ちよくネットが使えるとは思えません。それこそ、ザッカーバーグ氏みたいにカメラにテープを貼りたくなるってもんです。
次の特許は、ユーザーの表情や仕草からリアルタイムに絵文字を作り出すというものです。これはカメラに対して表情を作ったり親指を立てるなどの仕草をすると、それを認識してもっとも近い絵文字を組み合わせ、投稿に対するリアクションとして送信する機能だそうです。将来的には「いいね!」ボタンを押すことすら人間は面倒になってしまうのでしょうか? 常に記録しつづける前者の機能に比べれば怪しい感じはしませんが、やはりここでもカメラを使って感情を読み取ることが前提になっています。
最後の特許はカメラを使わず、メッセージの内容からユーザーの現在の感情を予測し、テキストに適切な装飾を加えるというものです。この場合、書かれている内容はもちろんのこと、タイピングの仕方やスマートフォンの加速器から送られてくる情報まで使ってユーザーの感情を読み取る可能性が書かれています。
たとえば上の例では、友人から「女の子が生まれたんだ!」とのメッセージがあり、それに対しての「おめでとう!」という言葉に祝福するような装飾がつけられる、ということでしょう。この場合、友人からのメッセージの内容を読み取り、それに対しての「おめでとう」をタイプするスピードや、慌てて打ち間違える回数、そして興奮を示すスマートフォン自体の揺れを検知した上で、それに見合った装飾を施すという仕組みであると考えられます。
FacebookのスポークスパーソンはMashableに対し、「私たちは、実用化されることのない機能の特許を頻繁に申請します。なので、特許は将来の計画を暗示するものではありません」とコメントを出しました。これ自体は決して驚きではありません。ほかのテック企業も、明らかに使われなさそうな特許を山ほど申請していますからね。それに実際、サービスとして提供されるにはやや荒唐無稽な機能に感じます。ですが、これから先のソーシャルメディアがいかにユーザーの感情を読み取り、利用しようとしているかがここから見てもとれると思います。
検索した内容から私たちの興味や関心事を抽出し、関連した広告を出すことは既に行なわれています。そこからさらに突っ込んで、私たちが悲しいと思った瞬間に元気が出るような音楽や本を売りつけてきたり、めでたいことがあったとわかるや祝福するためのギフトを勧めてきたり…そういった未来は意外にすぐそこまで来ているのかも知れませんね。
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