【今さら聞けない】クラウドファンディングって何?

2016.7.29 12:05 更新

読了時間:10分32秒

クラウドファンディング
あなたは投資をしたことがあるだろうか? 株式投資やFX、商品先物取引と様々なジャンルの投資がある。筆者は、投資で多くの苦い思い出がある一人であり、その結果もう投資はこりごり…と思っていた。しかし、ここ数年『クラウドファンディング』なるものが国内でも投資の一つとして話題のようだ。

クラウドファンディングとは、クリエイターや起業家に対して不特定多数の人がインターネット経由で資金の提供や協力などを行うことを指す。群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語で、ソーシャルファンディングとも呼ばれている。

ブーストマガジンの過去記事でもクラウドファンディングで資金調達をしたサービス・商品をいくつか紹介してきている。例えば、「IoTを体験できるホテル爆誕!」や「【鉢植え枯らす心配なし】遠隔で水やりもできる賢いプランターが日本上陸」などだ。

クラウドファンディングの国内市場規模は、2014年の新規プロジェクト支援額ベースで前年度比59.5%増の197億1,200万円と拡大している(矢野経済研究所調べ)。2011年以降、東日本大震災を契機に寄付を募る社会貢献性の高いプロジェクトが多数起案された。それを背景としてクラウドファンディングの認知が進んだ。

今回は、盛り上がりをみせるクラウドファンディングの基本の「き」を解説したい。

1.そもそもクラウドファンディングって何?

クラウドファンディングクラウドファンディングは「お金を出す人(支援者)」と「お金を受け取る人(起業家)」で構成される。支援者は起業家の「実現したいこと」を見て、その実現に力を貸したいと思えば出資をする。出資といっても “IPO(株式公開)を目的とした資金集め”とはひと味違う印象だ。お金を出してそのリターンを求める意識より、好きなクリエイターや起業家などを応援する、その夢に支援者も参加する気持ちの方が強いようだ。

一方、クリエイターや起業家からすれば資金を調達する手法として有効。製品やサービスの開発に必要な資金を集めることができるだけでなく、より多くの人へ自分の商品やサービスを認知してもらうことができるのだ。お金とお客が同時に手に入る、まさに夢のような話である。

多くの場合、クラウドファンディングプラットフォームというサービスを経由して支援・資金調達がなされている。国内では、MakuakeCAMPFIREなどが有名だ。これらのプラットフォームで支援者は好みのプロジェクトを探したり、起業家は支援を募ることができる。

例えば、あなたが自分のこれまでの半生を映画化したいと考えた。しかしそんな資金はどこにもない。そんな時にクラウドファンディングという仕組みを知った。「これだ!」と、そこで支援を募った。

その際、クラウドファンディングのサイト上には以下のような内容を掲載する。
・なぜその映画を作りたいのか?
・どのようにその映画を作るのか?
・必要な資金はいくらか?
・出資の見返りは?

そしてプロジェクトに共感した複数の支援者が、少額ずつ資金を出資する。一定期間に目標の資金が集まればプロジェクトが成立。プロジェクトの起案者であるあなたは、集まった資金を元手にプロジェクトを実行するのだ。

その際、プロジェクトを起案した起業家は、プラットフォーム運営者に、集まった金額の10〜20%を手数料として支払うという仕組みなのだ。

2.クラウドファンディングにも種類がある。3つの違いとは?

クラウドファンディングクラウドファンディングは支援者に対するリターンの形態によって3種類に大別される。

・金銭的リターンのない「寄付型」
・金銭リターンが伴う「投資型」
・プロジェクトが提供する何らかの権利や物品を購入して支援する「購入型」

まずは「寄付型」から。その名の通り、出資をするものの「寄付」であるためリターンは発生しない。それゆえ被災地支援などで利用されることが多い。続いて「購入型」。日本においては資金決済に関する法律等によって個人間の送金や投資が制限されている。その関係で「購入型」が最も多く認知度が高い。最後に「投資型」。個人から少額の資金を募り融資を行うもので投資家需要を取り込み、既に300億円以上の融資実績がある。

3.クラウドファンディングのメリットとは?

メリット支援者のメリットとしては、インターネットを通じて少額から気軽に出資ができるという点が大きい。様々なプランの中から今後成長していく可能性のある製品・サービスに出資したり、難病にかかった子供の手術費や、学校・病院建設といった発展途上国へのインフラ整備などの社会貢献もあなたの好みで選ぶことができる。

一方、プロジェクトを起案するクリエイターや起業家にとっては先ほど述べた通り資金と顧客集めができるということが一番のメリット。製品やサービスのアイデアがあり作成するスキルがあれば、そのプランを実現できる時代になってきているのだ。

4.ではデメリットは?

デメリット一見、参加者がみんなハッピーになれそうなクラウドファンディングだが、これも投資なのでもちろんリスクはある。

通常の株なら損が大きくなる前に売ることができる。しかし「投資型」のクラウドファンディングではそれができない。そのプロジェクトが失敗すれば出資した分の金額を損失として直接支援者が被る。

すなわちプロジェクトが成功すれば大きな配当が期待でき、失敗すれば出資分が損失となる。プロジェクトを起案する起業家と支援者とはまさに運命共同体なのだ。

これは「購入型」のクラウドファンディングでも同じ。投資額が集まっても、思うように事業が進むとは限らず、もし事業が不発に終われば、支援者は何も得るものがないまま、出資金をドブに捨てるだけということになりかねない。

また、出資を募っている人が、本当に信頼できるかどうかという問題もある。最悪の場合、初めから出資金を持ち逃げするつもりで、プロジェクトを立ち上げるということも不可能ではない。

そんな状況下で起業家がすべきことは、支援者の抱く不信感を軽減するため、情報発信に最大限努めることだ。

FacebookやTwitterなどのSNSはもちろん、Webサイトやブログなどを開設し、様々なメディアでプロジェクトの周知徹底を図る必要がある。資金獲得に至るためには支援者と密なコミュニケーションを図ることが重要だ。

5.海外と国内 クラウドファンディング比較

クラウドファンディング比較支援するからにはそのプロジェクトがうまくいってほしい。そこでまず検討すべきなのは、どのプラットフォームを利用するかだ。

日本に先駆けてクラウドファンディングが普及した海外には、KICKSTARTERINDIEGOGOなどの巨大プラットフォームが確立している。世界を舞台にしているだけであって、日本のプラットフォームと比べると資金調達額、出資者数、プロジェクト数も軒並み多い。支援する側からすれば“選び甲斐”があり、資金調達したいクリエイターや起業家も、大きなプロジェクトをワールドワイドに展開できる可能性が魅力だ。

しかし、そこでネックとなるのは英語。海外のクラウドファンディングに掲載されているプロジェクトの紹介文や動画、出資を募る側とのコミュニケーションなど、英語の必要性を迫られるケースが大半だ。さらに文化や慣習を含めた現地感覚も必要になる。

そういう意味ではMakuakeやCAMPFIREなど、日本のプラットフォームから選ぶことが得策といえそうだ。クラウドファンディングで成功を収めた日本のマンガサロン「トリガー」の例をみてみよう。

「トリガー」は、“食事ができて、お酒が飲めて、読書しながら楽しめる空間”というコンセプト。一人で楽しむことも、お客同士でも楽しく話し合うこともできる。また、通常のマンガ喫茶などでは1タイトル全巻を揃えている。しかし同店にある蔵書は、全巻そろえていない、あえてね。特に「心を打ち抜くシーン」が描かれた巻をピックアップしている、それも3,000タイトル以上。マンガ喫茶には絶対に置いていないようなコアでディープな作品も豊富に揃っている。

「これは既存のマンガ喫茶とは違うな」「ライトなファンにも、コアなファンにも反響がありそうだ」ということで、結果として出資を名乗り出る人が相次ぎ、約1260万円の資金調達に成功したのだ。

まとめ

クラウドファンディング基礎はいかがだっただろうか。
ブーストマガジン編集部でも海外のクラウドファンディングに出資して失敗した者もいるが、まずはチャレンジあるのみだ。最初は信用のある国内のプロジェクトへの出資を試してみることをオススメする。

また、これから起業を検討している方にもクラウドファンディングは魅力的だ。筆者の友人でお菓子教室を作りたいという夢を実現するため、クラウドファンディングで出資を募った女性がいた。彼女は見事100万円の資金調達に成功してプロジェクトを実行に移している。

これまでブーストマガジンで紹介したようにクラウドファンディング発の面白い商品が数多く誕生してきている。『クラウドファンディング』は今後ますます目の離せないキーワードになるだろう。今後の新しいトレンドはもしかしたら、この場所から生まれるのかもしれない。今回の記事を参考に時代の流れを掴んでほしい。

応援するのか、それとも新たなトレンドを生み出すのか、あなたはどっち?

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