マーケティング戦略のひとつに「カスタマージャーニー」があります。カスタマージャーニーは、1998年ごろからすでに使われていた概念で、マーケティングの神様と呼ばれるフィリップ・コトラー氏の著書「マーケティング4.0」でも詳しく紹介されました。今回は、カスタマージャーニーマップ作成のメリットについて解説します。
カスタマージャーニーとは?
カスタマージャーニーを直訳すると「顧客の旅」という意味になります。顧客が商品・サービスと出会ってから購入・契約に至るまでの道筋のことで、これを描いて可視化したものを「カスタマージャーニーマップ」と呼びます。カスタマージャーニーは、ユーザーが商品・サービスの購入・契約の意思決定に至るまでのプロセスを「旅」のようにまとめることで、どのタッチポイントでどのようなコミュニケーションを取る必要があるのかを整理することを目的としたマーケティング手法です。
カスタマージャーニーマップ活用のメリット
カスタマージャーニーマップを使いながら、企業はユーザーの態度変容を試みます。最終的に望み通りのアクションを起こしてくれるまで、ユーザーの態度を変化させる必要があります。ユーザーの態度変容プロセス(トリガーやボトルネック)を一枚の絵にして可視化したものが、カスタマージャーニーマップです。カスタマージャーニーマップを使用するメリットについて見ていきましょう。
●メリット①企業目線ではなく、ユーザー目線で発想できるようになる
ユーザーの行動を理解せず、なんとなく行うマーケティング施策は効果が出ないだけでなく、ユーザーから嫌われてしまう可能性もあります。ユーザーの体験の全体像を可視化することで、企業目線ではなく、ユーザー目線で考え、ユーザーに寄り添ったマーケティング施策を考えられるようになります。
●メリット②ユーザー行動の可視化により課題に気づきやすくなる
WEBサイトやアプリの行動ログやアンケート調査などでユーザー行動を把握している場合もあるでしょう。しかし、断片的にユーザー行動を理解していても、ユーザーが全体としてどのような動きをしているかを把握するのは難しいものです。なぜなら、ユーザーは様々な思考や行動をとるため、そのすべてを予測することは不可能に近いからです。しかし、デジタルデバイスの普及とともに、取得できるユーザーデータは増えています。そのデータを活用し、一人一人のユーザー行動の仮説を立てることが大切です。ペルソナ行動・思考・感情を時系列で見える化し、オンライン・オフラインを含めたすべてのユーザー行動を可視化することで、ユーザーの行動の背景にある思考や課題などに気づきやすくなります。
●メリット③チームとしての意思決定が迅速になる
カスタマージャーニーでは一連のユーザー行動を俯瞰で見たうえで、ユーザーが各フェーズで抱えている課題や悩みを可視化できます。 マーケティング担当だけでなく、営業、サポート、開発など、組織横断的にチームを組み、カスタマージャーニーマップを活用しましょう。ペルソナの体験や、ユーザーの態度変容を起こさせるためのトリガーやボトルネックを一つの表で確認できることで、組織内の複数メンバーの間で顧客の行動に対する共通認識が持てるようになります。そのため、チームとして緊急性や重要性の高さを議論しやすくなり、チームとしての意思決定も迅速になります。
まとめ
さまざまなメリットがあるカスタマージャーニーマップですが、絶対的なカスタマージャーニーマップというのは存在しません。近年、あらゆる情報やプラットフォームのデジタル化により、ユーザーのニーズや行動が多様化しています。そのため、カスタマージャーニーマップを使いながら、状況に応じて様々な戦略、施策を組み合わせていくことが必要です。次回はカスタマージャーニーマップ作成の注意点についてお伝えします。
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