極限まで仕事を圧縮して、無駄な残業を減らすための心得

2017.12.9 22:07 更新

読了時間:9分31秒

クリエイティブな仕事は朝一番に。無駄な残業を減らすために知っておくべきこと

Photo: 印南敦史

成果を増やす 働く時間は減らす 高密度仕事術』(古川武士著、かんき出版)の著者は、長らく「仕事の高密度化」習慣を提唱し続けている人物。これまでにも習慣化に関する多くの著作を送り出していますが、本書ではそんな経験から、「長時間残業と生産性の低さは、働き方の習慣の結果である」と主張しています。

なお以下のとおり、働き方の習慣には、個人の習慣と組織の習慣があるのだとか。

残業が減らない原因

組織の習慣(組織で取り組む課題)

・ 長いダラダラ会議

・ 無駄な資料作成の常態化

・ 退社しにくい職場風土

・ 残業したほうが得する給与制度

・ 非効率な業務プロセス など

個人の習慣(個人が取り組む課題)

・ 計画がなく混乱する

・ 完璧主義による過剰品質

・ だらだらメールチェック

・ 帰る時間の暗黙ルール

・ 個人からの依頼を安請け合い など

(「はじめに」より)

そんななか、「個人の習慣」に焦点を当てたのが本書だということ。「長時間残業・低生産性を生み出す『悪い習慣』とはなにか?」「短時間労働・高生産性を実現している人の『よい習慣』とはなにか?」などをひとつひとつ言語化し、まとめているわけです。

第2章「仕事の成果を最大化する5つのステップ」のなかから、「ステップ3 朝に集中するリズムをつくる」に注目してみたいと思います。

重要な仕事を「朝」やると、生産性が高まる

生産性が高い人は、「朝一番から最重要の仕事に手をつける」ことを実践しているのだと著者は断言します。理由は2つ。

まず1つ目の理由は、脳のエネルギーが一番充電されているのは「」だから。高密度の仕事をする際に着目すべきは、集中力の源である時間と脳のエネルギー。しかし夕方は、日中の仕事の疲れから脳のエネルギーが枯渇しているため、頭を使う複雑な仕事に取り組むとき、生産性に影響が出るというのです。

2つ目は、優先順位の問題。朝から最重要の仕事に手をつけ、夜には雑用しか残っていないとすれば、早く切り上げて帰ることができます。ところが生産性が低い人は、正反対のやり方を選んでしまいがち。朝にどうでもいい雑用に手をつけて貴重な時間を消費してしまい、夜に最も重要な仕事を残してしまうということです。しかしそれでは当然のことながら、翌日に早く出社することはできず、残業するはめになってしまいます。

朝に、企画力や発想力が必要な業務、高度な判断が求められる仕事に取り組むと、生産性が高くなるのだといいます。しかし逆に、重要な仕事を先延ばしにしていると、「まだ終わっていない」という緊迫感や憂鬱さを抱えてしまうことになります。つまり朝一番に重要な仕事を仕上げ、ネガティブな感情から自分自身を解放し、達成感を味わいながら一日をスタートしたほうがいいということです。

こうした基本的な考え方を踏まえたうえで、「朝」を活用するための具体的な方法を確認してみましょう。(76ページより)

生産性が高い人は、早朝出社して好循環をつくる

生産性が低い人は、集中する時間帯として、周囲から連絡が入らない「夜」を選ぶ傾向があると著者。その結果、帰宅が遅くなって夜更かしすることになり、寝不足のまま翌朝はギリギリに出社。そして朝から仕事に追われ、また残業をするという悪循環に陥ってしまうというのです。

一方、生産性が高い人は、集中する時間帯を「朝」に持ってくるもの。たとえば朝の1時間を「聖域」とし、誰にも邪魔されずに重要な仕事を終わらせるのです。そして夕方になって集中力が落ちてきたら、見切りをつけてさっさと退社。しっかり寝て充電してから、翌朝には全力投球で仕事を始めるというサイクルだということです。

ここで紹介されているのは、コンサルタントの大前研一さんの仕事術。マッキンゼーで本社役員を務めた大前さんも、朝方だったというのです。朝4時に起きて、すぐに世界の500のニュース記事をチェックし、9時までに自分ひとりでできる仕事を終了。日中は打ち合わせ・社内相談、メディアの取材・講演をこなし、夜は早く帰って就寝。世界中を飛び回ってコンサルティングをするかたわら、執筆や講演、政界へのアドバイスをこなす超人的パフォーマンスは、朝方ワークスタイルによって支えられていたということです。

だとすれば気になるのは、「どうすれば早起き・朝型リズムをつくることができるのか」ということ。この点について著者は、コツをたったひとつに絞るなら、「早く寝ること」だと記しています。「早く寝れば、早く起きられる」が原則だという考え方。そのために重要なのは、仕事を切り上げる時間を死守すること。寝る時間を早めることで、朝方リズムに移行しやすくなるわけです。(78ページより)

生産性が高い人は、重要な仕事から手をつけはじめる

著者は、かつては次のようなリズムで仕事をしていたと過去を振り返っています。

“出社して真っ先にやっていたことは、メールチェックと社内郵送物の開封とチェック。まずメールを見て、関係部署への返信を済ませないと心が落ち着かなかったのです。

返信すると、すぐに新しい返信が来て、別の問い合わせが舞い込んでくる。そのうち、上司から呼ばれて急ぎの仕事を依頼されると、脳はパニック状態です。緊急対応を繰り返していると、集中してやるべき提案書は後回しになり、深夜残業をして処理していました。(80ページより)”

このことを踏まえた上で、次に紹介されているのは「脳には2つの集中モードがある」という事実。「オペレーティブ・モード(決まった手順でこなす)」と、「クリエイティブ・モード(深く創造的に考える)」がそれにあたるそうです。

オペレーティブ・モードは、すでに経験があり、深く考えずにできるルーティンワークや、緊急性がある仕事を早く処理するときの集中モード。メール返信、電話対応、ルーティンの雑用処理などが当てはまるといいます。

対するクリエイティブ・モードは、深く集中して考える仕事を行うときの集中モード。戦略立案、計画作成、振り返り、仕組みづくり、提案書作成などが当てはまるわけです。

つまり、以前の著者が朝一番に提案書作成に手をつけられなかった理由は、メール処理や郵送物のチェックなどオペレーティブな仕事に着手していたから。しかし効率がいいのは、朝一番はクリエイティブ・モードからスタートすること。オペレーティブ・モードは日中、自然と立ち上がりますが、クリエイティブ・モードは静けさと余裕のあるなかでしかつくり出しにくいというのがその理由です。(80ページより)

生産性が高い人は、朝の15分は、メールを見ない

私たちが緊急の仕事に出合うと、脳は危機を感じ、扁桃体という部位が興奮するのだといいます。そして、いったん脳がこの興奮状態に入ると、冷静さを取り戻してじっくり考えるべきクリエイティブ・モードはつくりづらくなるそうです。

朝にメールを見ると、緊急対応を迫られることが多くなるものです。一分一秒を争うようなものではないにしても、「あとで返信しよう」と傍に置いておき、重要な仕事に取り組むことは現実的に困難。なぜなら一度見てしまうと、「すぐに返信しなくては落ち着かない」という気持ちになり、オペレーティブ・モードから仕事がスタートすることになってしまうから。

そこで、1日の仕事をクリエイティブ・モードから始めるために、著者は「朝一番のメールチェック禁止」を勧めています。朝にメールチェックすることが習慣になっていると、そこから抜け出すのは簡単ではないでしょう。しかし生産性をよくするために重要なのは、最重要の仕事からスタートさせること。すなわちクリエイティブ・モードからはじめるのが効果的だという発想です。

そこで、まず試して見るべきは「朝15分だけ重要仕事に手をつける習慣」。わずか15分の我慢なので、早めに出社していれば業務上の支障もないわけです。(82ページより)

本書が理解しやすいのは、「生産性が低い人」と「生産性が高い人」とを比較しつつ、悪い習慣から抜け出す解決策としての「よい習慣」を開設しているから。しかもすぐに実行できそうなものばかりなので、時間の使い方について悩んでいる人は必読といえるかもしれません。

Photo: 印南敦史

印南敦史

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Lifehacker


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