GoogleとFacebookが競う、ドローンによるインターネット接続プラットフォーム開発
2016年3月、Googleの囲碁AIであるアルファ碁(AlphaGo)が、囲碁のプロ棋士に勝利したというニュースが世界中の人々を驚かせました。囲碁のAI(人工知能)は、2015年11月にGoogleとFacebookが相次いで開発を発表しており、今後GoogleとFacebookが囲碁の世界チャンピオンの座をかけて対決するドリームマッチが見られる可能性もありそうです。
一方で、そんな囲碁AIの分野だけではなく、ドローンの開発でもGoogleとFacebookが競い合っていることをご存知でしょうか。
Googleの「Project Skybender」
Googleは、次世代技術の開発を担うプロジェクトであるGoogleXの中で、太陽光で発電して自動飛行する大型のドローンの開発を行っていることを明らかにしています。
このプロジェクトは「Project Skybender」と呼ばれており、上空のドローンから現在のLTE通信の40倍速く、5G(第五世代移動通信システム)の基礎としても期待を集めているミリ波による高速通信の実現を目指しています。
Googleのシュミット会長は、Googleの今後の課題について「全世界で30億人がインターネットにアクセスできるが、まだ十分とは言えない。アジア、アフリカ、ラテンアメリカで安価なデバイスを持てるようにしていきたい」と語っており、世界中どこでもインターネットに接続できる環境を提供できる近未来のインフラとしてドローンに投資を行っているようです。
機体は、2014年に買収したドローンメーカーTitan Aerospaceの固定翼をもつドローン「Titan(タイタン)」を土台とし、アメリカのニューメキシコ州にある民間宇宙港スペースポート・アメリカにて検証を行っています。
真偽は不明ですが、太陽光発電によって5年間は無補給で成層圏を飛行できるという報道もあります。
Facebookの「Internet.org」
Facebookも、「Internet.org」プロジェクトの中でネットアクセス環境の提供に取り組んでいることを明らかにしており、インドのほぼ全域でインターネットへの基本サービスに接続できるアプリ「Free Basics」を無料で利用できるようにするなど、成果を上げています。
ドローンに関しては、太陽光発電で飛ぶ無人機の世界最長飛行を記録したZephyr初期版を手がけた英国のAscentaをチームに加え、「既存のモバイル網から取り残されている人々がインターネットに接続できる環境を提供しよう」と開発を進めています。
2015年7月には、高度約1万8千メートル以上の上空を3~6カ月程度飛び続けるという「Aquila」と呼ばれるドローン1号機を発表していて、CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は自身のFacebookアカウントのタイムラインに進捗状況をたびたび投稿しています。
「囲碁でコンピューターが勝つのはまだ10年は先のこと」と言われてきましたが、あっさり10年短縮されてしまいました。今はまだ夢物語のように聞こえる半永久的に飛行するドローンの開発ですが、私たちの目の前に登場して世界をあっと言わせる日が間近に迫っているのかもしれません。
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