資格試験などにも効果的! 「やる気が起きないときの勉強法」とは
“人間は「飽きる動物」です。数か月から数年という長期間、常に集中し続けることなどできません。
重要なのは、
「飽きてしまったときに、集中力を取り戻す方法を見つけておく」
「徹底的に『やらなくていいこと』をそぎ落とし、合格への最短ルートを見つける」
この2つの原則なのです。
(「はじめに」より)”
このように主張するのは、『東大合格者が実践している 絶対飽きない勉強法』(鬼頭政人、大和書房)の著者。開成中学・高校から東京大学文1(法学部)に進み、卒業後は慶應義塾大学法科大学院に進学。在学中に司法試験に一発合格し、弁護士として勤務したのち、資格試験対策を提供するオンラインサービス「資格スクエア」を企業したという人物です。
そう聞くと、いかにも特別な人といった印象を抱かざるを得ません。ところが著者は「難関大学に合格する技術」は誰でも習得可能なのだと主張するのです。そこで本書では、そんな経験をフル活用して編み出した「やる気と集中力をコントロールし、最大限の労力で合格する」メソッドを明かしているというわけです。
第1章「勉強に飽きてきたときに試してほしい 集中する技術」から、「症状別 机に向かっても『やる気が起きない病』の特効薬」を見てみたいと思います。
症状1:さっきまでは順調だったのに、急にやる気がなくなった
「さっきまでは順調だったのに、ちょっとしたところで引っかかってから、なにかがプッツリと切れてしまった…」。そんな経験は、誰にでもあるものではないでしょうか。しかもそういうときは、立てなおそうとしてもなかなかもとに戻らないもの。ケアレスミスを連発したり、同じところを何度も読み返したり、なかなか前へ進めなくなってしまうわけです。
しかし著者によれば、それはがんばりすぎて集中力が切れてしまっただけのこと。ちょっと気分転換してリフレッシュすることができれば、おそらく状態はもとどおりに回復するといいます。そもそも、人間の集中力は40〜50分程度といわれているので、納得できる話ではあります。
だから、まずすべきは「そういうものだ」と納得すること。そして、とりあえずは席を立ち、まずはその場で軽く伸びをしてみる。あるいは肩甲骨を回し、上半身を左右に振って、屈伸運動などもしてみるといいそうです。
集中しているときは脳ばかり使っているので、体のあちこちが凝っているもの。そこで、そうした部位を動かし、体全体の血のめぐりをよくしてやるわけです。
さらに、息を深く吸い、大きくゆっくり吐き出すことも大切。物事に集中しているとき、人は無意識に呼吸を止めていたりします。しかし脳が酸欠状態になると、集中力や記憶力が低下することになります。たとえば疲れはじめにあくびが出るのも、脳が大量の酸素を欲しているから。
また、チョコレートなど甘いものをちょっとだけかじるのも効果的だといいます。脳のエネルギーであるブドウ糖は、砂糖の入った甘いものを食べることで摂取可能。ブドウ糖が入って血糖値が上がると、脳は再びパワフルに動きはじめるというわけです。(15ページより)
症状2:勉強を始めるまでに時間がかかる
調子に乗りさえすれば集中力が持続するのに、いつもスタートに時間がかかってしまうという方もいらっしゃるはず。しかしこれは、「慣性の法則」をイメージすれば当然。つまり物事は、動き始めるときにいちばんパワーを要するということです。事実、勉強のスタートに苦労するという人の大半は、入り方が下手なのだと著者は指摘しています。「これから取り掛かる!」と気合が入りすぎるあまり、数学の記述や英語の長文読解などの“ヘビーな課題”から入ろうとするということ。しかし、それではうまくいかなくて当然です。
最初は英単語や古文単語などの暗記モノからスタートし、英語の文法問題などの「知っていれば解ける問題」に進み、得意科目のやりやすい問題でペースをつかんで、徐々に「考えなければ解けない難しい問題」へ…というように、段階的に進んでいくことがコツ。
また、鼻歌まじりにできるような、不可の小さな「作業」に限られるそうですが、音楽の力を借りるのも手。たとえば、好きな曲を聴きながら英単語の暗記や軽い長文読解に取り組み、ある程度調子が乗ってきたら音楽を止め、不可の大きな勉強へとシフトするわけです。いわば、助走をつけるための勉強。
症状3:1ミリもやる気がない
症状1、2のように、ちょっとしたコツやテコ入れでやる気が復活するなら、まだ救いがあるかもしれません。しかし、いちばん深刻なのは、緊張の糸がぷっつりと途切れ、まったく勉強する気になれないとき。「なにをどうやっても頭に入らない」というようなときに無理やり勉強しようとしても、得るものはなにひとつないわけです。
それどころか逆にイライラを募らせることになり、そうした状態を数日間引きずってしまうことも。そのほうがよほど悪影響があるわけですから、そうなってしまったら勉強は諦め、気分転換に徹したほうがいいそうです。そして「勉強をやらない」と決めたなら、その日は完全に勉強から離れることが重要。そして、徹底的に遊びまくるべきだというのです。
その結果、開放感のその先に「なんか違うな」というような違和感や、「時間を無駄にしてしまった」という後悔や自責の念を覚えることになることもあるでしょうが、著者は「それがいい」のだと強調しています。
「完全に勉強から離れる」といっても、現実的には勉強のことを完全に頭から消し去ることなど不可能。時間は刻々と経過し、一方でやらなければならないことが山積し、本来なら遊べる状況ではないのです。それを自分が誰よりもわかっているからこそ、「こうしている間にもライバルたちは勉強している。自分はこんなことをやっていていいのだろうか?」という不安が大きくなっていくわけです。そのため「こんなことをしている場合じゃない。早く勉強しなきゃ。いや、勉強したい!」というように、自然とやる気が起きてくるということ。
なお、著者はさまざまな場所で、モチベーションを上げるには「4つの要素」があるということを話しているのだそうです。
“モチベーションを高める4要素
1. 監視………………………外部要素…………見られているからサボれない
2. 競争………………………外部要素…………あいつにだけは負けたくない
3. 危機感……………………内部要素…………このままじゃ合格できないかも
4. 承認(自己/他己)……内部要素…………よくがんばっている、エライ!”
一日、勉強から完全に離れるというのは、このうちの「3.危機感」を自分自身で醸成させる方法。というのも、危機感はこの4つのなかでも最強のモチベーション要素なのだそうです。(24ページより)
どんなに気が散っていても「一瞬で集中する」技術
「机に向かっていたはずなのに、気がついたらスマホをいじっていた」「ノートにいくつも落書きをしていた」「しょっちゅうキッチンに行き、冷蔵庫をのぞいてしまう」などなど、集中したいときに限って、こういうことはよくあるもの。それで悩んでいる方も、決して少なくはないでしょう。
しかし、そういった悩みを抱えている人に対して「時間への意識を高めましょう」「危機感を持って集中しましょう」などといったアドバイスをしたところで、なんら解決しません。なぜならそういった場合は、自分でもほとんど意識しないまま脱線しているものだから。いいかえれば、心の持ちようで解決できるものではないということです。
だとすれば、どうしたらいいのかが気になるところですが、著者は上記の「1.監視」を利用することを勧めています。
“東大合格者のTくん(法学部)は、家にいるとき自分の部屋では勉強しなかったそうです。
理由はご想像の通り、一人だとすぐに油断してマンガを読んでしまうからです。それではどこで勉強していたのかというと、リビングだったそうです。
そこにはいつも家族の誰かしらがいて、お茶を飲んだり読書をしたりしています。その傍らで勉強していれば、その姿は否応なく家族の目に入ることになるでしょう。つまり、自ら家族の監視下に入るわけです。(中略)他人の目があるとちょくちょく脱線するわけにも行かなくなるというわけです。(29ページより)”
リビングで勉強することには、「雑音に強くなる」というメリットもあるといいます。静かな環境と雑音だらけの環境とでは、前者のほうが集中しやすいのは当然の話。そのため受験生には耳栓や、ノイズキャンセリング機能のついたヘッドフォンを利用する人もいますが、それらは実際の試験会場では使えません。
また、普段からそうしたグッズに頼って勉強することに慣れていると、それが使えなくなったときに集中力が落ちてしまうかもしれません。しかしリビングの生活音のなかで勉強ができれば、試験会場ではいつも以上に集中できるというわけです。(29ページより)
東大合格者によって書かれた「勉強法」ではありますが、いうまでもなくその内容は、資格試験などを控えたビジネスパーソンにも応用できそうなものばかり。柔軟に活用することが、成功への道筋となっていくかもしれません。
Photo: 印南敦史
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