「社会的不妊」って何だ? 少子化問題解決のため、3つの提言に耳を傾けよう
日本の少子化は非常に深刻な問題です。解決のため、政府は子育て世代へ支援の強化や自治体自ら婚活パーティーを開催するなど、まさに官民一体となって奔走しています。
しかし実際のところ、20~30代の働く女性の90%以上が「仕事と子育ての両立」に不安を抱えており、出産を先延ばしにしているという事実があります。
こういった若い人たちの意識は社会の仕組みに要因があるという考え方は「社会的不妊」と呼ばれています。「働き方改革以外に、少子化対策の処方箋はない」と言い切るのが、少子化ジャーナリストで作家の白河桃子さん。
その白河さんのロングインタビューが、IBMのWebメディアMugendai(無限大)に掲載されていました。現代の日本が抱える最大の問題の一つについて、改めて考える機会となりそうです。
仕事は充実、しかし子育てには不安が。日本を静かに包み込む「社会的不妊」とは
2017年7月に発表された「両立不安白書」によると、「仕事と子育ての両立に、不安を感じた経験はありますか?」という問いに対し、20~30代の出産経験がない働く女性のうち、「はい」と回答したのは実に92.7%。また、「仕事と子育ての両立への不安が原因で、転職や退職を考えた経験がある人」が50.4%、「妊娠・出産の時期を遅らせることを考えたことがある人」は46.6%にも上るそうです。
しかし、そうした不安を感じながらも、そのうち80.3%の人は「現在の仕事は充実している」と答え、66.5%の人が「求められれば、管理職を経験してみたい」と考えています。
すなわち、「安定した仕事をしながら、若いうちにパートナーを持って出産および子育てをする」ことが「難しい」と認識されている社会の状況があること。それこそが「社会的不妊」だといえるのです。
少子化解決は働き方改革しかない。白河さんが断言する3つの改革
こうした状況を作っている主な要因が、働き方にあると語る白河さん。以下にあげる3つのことを変えない限り、女性の活躍は不可能であると言い切ります。
長時間労働をなくすこと。残業をなくし、決められた労働時間内での成果で評価されるべき。
年功と仕事を結び付けないこと。若いからこの仕事、○○歳だから管理職、という凝り固まった考え方を捨てる。
パートナーである男性が、育児にしっかり参画できること。
特に3番めについては、日本と韓国の女性は世界一労働時間が長く、睡眠時間が短いといわれており、男性の家事・育児への参加度の低さと関係しているというデータがあるそう。白河さんは「もうこれ以上、女性の労働時間を増やすのは無理」だと語り、男性の育児への積極的な参加が不可欠だと訴えます。
これには男性側にもメリットがあり、一家の大黒柱として「男は外でお金を稼ぐもの」というこれまでの固定観念から解放されるため、新たなジェンダー論にもつながると白河さんは語ります。
また、ここ数十年で大きく変わった喫煙に対する考え方などを例にあげ、少子化対策も「今が分岐点」だと語る白河さん。
ほかにも「働き方改革は、制約こそがイノベーション」といった考え方や、男性が育児休暇を取ることに決めた、あるミレニアルカップルの育児の姿など、特に子育て世代必見のインタビューは、Mugendai(無限大)からぜひ続きをお楽しみください。
Image: Mugendai(無限大)
Source: Mugendai(無限大)
渡邊徹則
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