自分や上司、部下、同僚の「怒り」をコントロールするためのポイント

2017.10.18 12:07 更新

読了時間:6分32秒

仕事の人間関係別、「怒り」をコントロールする方法

古荘風穂

cafeglobeより転載:人はなぜ怒るのかを紐解いた前編、怒りをコントロールする3つの基本や怒るときのNGフレーズをご紹介した中編に続き、今回は人間関係に即した対処法をアドバイス。キレやすい人に悩んでいる方、ぜひ参考にしてみてください。

人間関係からアンガーマネジメントを考える

アンガーマネジメントは、接する相手や自分の性格によっても取るべき方法が変わってきます。例えばビジネスシーンなら、どんなシチュエーションが考えられるか。対上司、対部下など、さまざまな立場から見ていきましょう。

1.上司がキレやすい場合

上司というものは、そうすぐには変わりません。まずは「打たれ強くなること」が非常に大切。

そして間違っても、向こうがキレているときに正論を言わないこと。なぜかというと、大抵は正論ではなく無茶を言っているだけだから。それなのに真正面から対抗されると、拳の降ろしようがなくなって火に油を注いでしまいます。

キレられたら、その場は素直に聞き、自分の意見は別の機会に言うのがベター。上司の行動パターンを研究したり、その上司をうまく操縦している人のマネをすることも効果的です。

2.部下がキレやすい場合

立場的にこちらが話をしやすい相手ですから、中編で解説した三重丸を使って、お互いの認識をすり合わせましょう。キレやすい人というのは、許容範囲が狭いだけでなく、言語化する能力が弱い傾向があります。部下が一体何に怒っているのか、それを言語化する手助けをするのです。

もし部下がピントのずれたことを言ってくるようなら、いったんは全部話を聞いて、ひとつずつ検証していくこと。マネージャーは人の話を聞くことも職責のひとつです。

3.自分がキレやすい場合

まずは中編で解説した「衝動・思考・行動」のトレーニングをやり続けること。それでもキレてしまった場合は、素直に謝りましょう。「ごめん、いま言い過ぎた」とか、「……と、通りすがりの猫が言っていたよ」と冗談を混ぜたり。

仕事でキレることは、キャリアの障害になります。上司だって怒りっぽい人は上に引き立てづらいし、部下もやりにくい。怒るのは恐怖を与えることですから、例えそれで相手を動かせても、恐怖がなくなった瞬間に動かなくなってしまいます。決して長続きする方法ではありません。ビジネスの場面で人を怒ることは、リクエストを通すことだということを忘れないでください。

4.怒れない場合

怒れない人は、「言ったら相手に嫌われる」とか「嫌な思いをさせるんじゃないか」と思い込んでいます。まずは自分が言いやすい小さなことから言う訓練をしましょう。少しずつ変わることができます。

もうひとつは怒りをためこまずに、そのつど言うこと。「ずっと我慢していたけど……」とやってしまうと、自分は筋道をたてて怒っているつもりでも、相手にはその筋道が見えないので、「なんで今さら?」と思われてしまいます。

5.キレやすい同士の場合

ルールを作って、スポーツにしましょう。ヒートアップしたら5分おいて話し合うなど、タイムアウトの時間をとるのも効果的。

怒るのをやめないのは、ケンカを勝ち負けと捉え、相手を徹底的に追い込みたいから。でも、言い負かすことが成功ではないんです。

0か100かの勝負は人間関係を壊します。ケンカは交渉事で、0か100かの交渉事は失敗。これを紙に書いて、オフィスに貼っておくくらいの気持ちでいてほしいですね。

怒りを生かすと「他責」しなくなる

安藤さんはこれまで、「怒り」をコントロールできずに悩む人とたくさん出会ってきました。

ある男性会社員は、自分が怒りっぽいという認識があまりなく、まわりが自分を怒らせると思っていたそう。でも、本当の原因は自分にあるというのがアンガーマネジメントの大前提。少しずつ実践してもらったところ、「気づいたらまわりの人がすごく親切になっていて、怒らなくなった」と驚いていたといいます。

これはおそらく、まわりが変わったわけではありません。仕事で限界を感じてアンガーマネジメントを始めた人が、「なぜか家族が変わった」と言う例も多くあるそう。自分が変わることによって、見える世界が変わったのです。

子どもがキレやすい悩む親御さんがアンガーマネジメントを学ぶと、自分の怒り方が子どもに強い影響を与えていたことに思い至るケースも。子どもは必ず親を見ていますから、親が変われば子どもも変わります。

私たちは、自分を変えるよりも、怒ったりどなったりして相手を変えたいと思いがち。しかし実際は、「他人と過去は変えられない。変えられるのは自分だけ」です。

アンガーマネジメントを学び、怒りの衝動、思考、行動をコントロールできるようになると、不思議なことに「他責」の概念が薄れていきます。怒りと上手に付きあえば、人生はもっと喜びにあふれたものになっていく。怒りに負けずに、怒りを生かす技術は、これからますます必要になっていくのではないでしょうか。

自分の性格の特徴・怒り方の癖・改善トレーニング方法がわかる「怒りタイプ診断」にチャレンジ!

安藤俊介(あんどう・しゅんすけ)

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事。日本における「アンガーマネジメント」の第一人者。日本人としてはじめてのナショナルアンガーマネジメント協会、アンダーソン&アンダーソン、MFTNY公認のアンガーマネジメントファシリテーター。『はじめての「アンガーマネジメント」実践ブック』など著書多数。

Image: 古荘風穂

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Lifehacker


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