狙われています! プライバシーを保護しながらネットサーフィンを楽しむ方法
狙われています! プライバシーを保護しながらネットサーフィンを楽しむ方法
皆さんのプライバシーを侵害するために莫大なお金が動いていることをご存知ですか? 企業はあなたの情報を知るために大金を支払い、サービスプロバイダーたちはあなたに関する情報を可能な限り集めようと必死になっています。皆さんはどうやって自分の情報を彼らの手から守りますか? この記事では、プライバシーを保護しながらネットサーフィンを楽しむ方法をご紹介します。
“「もしあなたが無料でそのサービスで使っているなら、あなたは客ではなく商品なのだ。」”
上記のような格言がありますが、これは紛れもない真実です。日々新しい企業が自社サービスにあなたのアドレス帳をアップさせようとしています。また、ブラウザのプライバシー保護機能をかいくぐり、あなたのネット上の行動を逐一トラッキングしようとしているのです。以下では、なぜ注意が必要なのかの理由と、安全にネットサーフィンするための対策を紹介していきます。
■なぜ注意が必要なのか?
あなたの個人情報には価値があります。あなたが思っているよりずっと価値があるのです。以前、ライフハッカーでもFacebookのトラッキングを回避する方法をご紹介しましたが、読者から「なぜ彼らはトラッキングするの? 私は特に重要人物でもないのに」、「自分は別に隠し事などしていない」、「彼らは広告を出したいだけなんだよね、無関係な広告を見せられるんだったら、ターゲット広告は歓迎だよ」などの声が寄せられました。しかし、これらの意見はやや浅はかな考えといえます。ここで説明のために筆者の個人的なストーリーを少しお話しましょう。
米Lifehackerチームに参加する前、私は情報を取引する会社で働いていました。大企業向けに人々の情報を集めるサービスを提供していたのです。年齢・性別などの基本情報や収入・行動パターンなどの情報を扱い、これらの情報から人物像をプロファイルし、その人物に商品を買わせるためにどうPRすれば良いかを考える仕事でした。あるプロジェクトでは、キャンペーンサイトを開設してクーポンや値引きと引き換えに人々の個人情報を集めました。この手法はかなりうまくいったのです。
このように、あなたに商品を買わせたり、オンラインサービスに登録させたり、さらなる情報を提供させるために、多額の資金が実際に投入されています。
利用者から見れば、自分の好みにあわせた広告が送られてきたりグルーポンサイトで自分にぴったりの掘り出し物情報が表示されたりするのは、決して悪い気がしないかもしれません。しかし、エキサイティングな掘り出し物情報と引き換えに、あなたの個人情報のすべてが売り渡されていることに気付いてください。あなたの年齢・収入・家族の年齢・家族の収入・病歴・食生活・お気に入りのサイト・誕生日など、あらゆる個人情報です。
あなたがそのことを自覚しているなら問題ありません。しかし、そこまで情報を取られても、広告を見せられる以外には何の利益もないことに気付くでしょう。それでは、この事態にどう対処すればいいでしょうか?
■トラッキングを止めさせる方法
●Chrome
Chromeにはプライバシーを保護するためのアドオンやツールがたくさんあります。どのサイトがあなたのデータを無断でサードパーティーに送信しているか、どのサードパーティーがサイトを通してあなたの行動をトラッキングしているのかを暴くことが可能です。以下のリストは、特定のSNSや企業をターゲットにしたものではなく、広く一般的な企業サービスを対象としています。
Adblock Plus
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これまでも「Adblock Plus」を何度かご紹介してきましたが、今こそこのツールを推奨します。これとあわせて「Antisocial」を購読すれば、Facebook/Twitter/Google などのSNSからデータを勝手に送信することを防止できます。ソーシャルプラグインを使っているサイトを訪問した場合にも有効です。
Ghostery
「Ghostery」は、WEBサイトが気づかないうちに仕掛けてくるクッキーやプラグインを使ったトラッキングから情報を守ります。トラッキングスクリプトが見つかるたびに警告を発して教えてくれます。また、最初からすべてのトラッキングを拒否する設定も可能。このツールの最大の長所は、SNSだけでなくアドネットワークやウェブパブリッシャーも検査対象に含まれる点です。
ScriptNo for Chrome
「ScriptNo for Chrome」はGhosteryとかなり似ており、あらゆるサイトのあらゆるスクリプトに対して警報を鳴らします。この2つの違いは、Ghosteryがある程度限定された種類の情報に対してしか警告を出さないのに対し、ScriptNoは何にでも警告を出すので、実にたくさんのサイトが引っかかってしまうことです。おそらく、あなたが訪問するサイトの約半分は警告対象となるので、いちいち手動でスクリプトを許可するのは面倒かもしれません。とはいえ、直感的なインターフェースになっていて「許可して良いスクリプト」と「ブロックすべきスクリプト」を判別しやすいので、それほど時間を取られるわけではありません。
Do Not Track Plus
ブラウザに標準でついている「追跡拒否機能」をさらに強化したい場合は「Do Not Track Plus」を使ってください。例えば、さまざまなサイトにあるFacebookやGoogle のボタンから、あなたのデータが勝手にサードパーティーに送信されるのを防いでくれます。通常、そのようなソーシャルボタンのあるサイトを訪問すると、ブラウザはあなたがどのサイトにいるかをソーシャルネットワークに勝手に報告してしまいます。しかし、この拡張機能を使えば、あなたが自分でソーシャルボタンを押さない限り、いかなる情報も送られないようになります。
ここで紹介したGhosteryやAdBlock Plus、Do Not Trackは、入れておきたいツールです。ScriptNoは少し上級者向けですが、慣れれば問題なく扱えるでしょう。
また、拡張機能の導入だけでなく、ブラウザ標準の設定機能もしっかり活用しましょう。Chromeの「高度な設定>コンテンツの設定」で、サードパーティのクッキーを拒否したり、ブラウジング終了時にすべてのクッキーを削除するように設定できます。また、SNSを使った後はログアウトするのを忘れないこと。もしプライバシーが気になる時は、つねにChromeの「シークレットモード」を使うとよいでしょう。
●Firefox編
Firefox向けにもたくさんのプライバシー保護のためのアドオンがあります。多くはChrome向けと同じデベロッパーが開発しており、ほぼ同じ機能を持っています。
Adblock Plus
Adblock Plusは、Chromeと同様にFirefoxでも基本となるツールです。もちろん「Antisocial」の購読も忘れずに。この組み合わせで、煩わしい広告をほぼ完璧にブロックできます。また、あなたの情報が勝手に送信されるのも防げます。
Ghostery
GhosteryもFirefoxで使えます。このツールはあなたが訪問するすべてのサイトにおけるスクリプト、クッキー、トラッカーの情報を報告してくれます。アイコンをクリックすれば、そのサイトがどんな情報を集めているかを表示してくれますし、どの情報の送信を許可し、どれを拒否するのかの選択が可能です。
「Do Not Track Plus」
Do Not Track PlusもFirefoxで使え、Chromeと同じ機能があります。
NoScript
NoScriptは素晴らしいアドオンで、あなたが訪問しているサイトの裏側で何が行われているかといった膨大な情報を提供してくれます(あまりに膨大すぎるため、愛憎の念が入り混じりますが…)。プライバシーの徹底管理をお望みなら、このツールが最適です。
Priv3
Firefox専用のツールです。ラトガース大学と国際コンピュータ科学研究所(ICSI)の研究から生まれたこの実験的なアドオンは、Facebook/Twitter/Google /LinkedInがセットするサードパーティー・クッキーからあなたを守ってくれます。ライフハッカーでも以前ご紹介しましたが、筆者自身も愛用しています。Do Not Track Plus同様、あなたが自分でボタンを押さない限り、サイト側では何もしないように制限します。
Ghostery、AdBlock Plus、Priv3が基本となるツールです。Do Not Track PlusとPriv3は同じ領域をカバーしているので、どちらか一方を使えばいいでしょう。NoScriptは情報を徹底的に管理したい上級者向けです。
Firefox標準のトラッキング拒否機能もオンにしておきましょう(「オプション>プライバシー」で設定できます)。ただし、多くのサイトがこの拒否機能をうまく回避してクッキーやソーシャルプラグインを忍び込ませてくるので、注意が必要です。プライバシー設定とコンテンツ設定も忘れずに。
また、どんなブラウザを使っているのであれ、サービスを使った後はきちんとログアウトすることをオススメします。ブラウザを閉じる時にプライベートデータやクッキー、閲覧履歴を削除するように設定しておきましょう。とくに、要注意のサイトをログアウトした後は必ずクッキーを削除しておくこと。
●Internet Explorer、Safari、Opera編
SafariやIE、Operaも決して安全ではありません。先日Googleが「Internet Explorer 9」のプライバシー保護機能を回避していることが判明しました。Nik Cubrilovicがこの状況をわかりやすく説明しています。Microsoft社は対抗策として、Googleのトラッキングからプライバシーを守るためのIE9用の「追跡防止アドオン」を公開しました。
Do Not Track Plusは、Safari/IEでも使えます。AdBlockにもSafari版、Opera版、IE版があります。NoScriptやScriptNoが好きな人は「NotScripts」がOperaで同じ機能を提供しています。
ここで紹介したものはごく一部です。この中にあなたのブラウザで使えるものがなかったとしても、きっと誰かが似たようなエクステンションを開発しているはずなので、よく探してみてください。
■モバイルブラウジング
モバイルブラウジングはまだまだ未開拓な分野です。無数のモバイルブラウザがありますが、ほとんどの人はスマートフォンに標準で付属しているブラウザをそのまま使っているだけでしょう。プライバシーを保護するツールも今のところほとんど見当たりません。まず、あなたのブラウザに「プライバシーモード」があるかを確認しましょう。そして、SNSに外部のアプリを連携させないように気をつけ、定期的に個人情報を消去するようにしてください。
『Firefox for Android』や『Atomic Web Browser』、『Dolphin Browser』などにはプライベートモードがあり、自動的にプライベートデータを消去してくれるモバイルブラウザもあります。米Lifehacker一番のオススメはAndroidなら「Dolphin」、iOSなら「Atomic」です。ぜひお試しください。
■最終手段
どのエクステンションにも満足できず、ひとつ上のプライバシー保護をお望みの方もいるかもしれません。ひとつの方法としては、Facebookなどのソーシャルネットワークに使うブラウザと、ネットショッピングやネットバンキングなどの重大な個人情報を扱うサービスで使うブラウザをわけてしまうことです。また、Firefox向けとなりますが、以前ご紹介した「全く何も痕跡を残さずにブラウズする方法」もぜひチェックしてみてください。同じことがほかのブラウザにも応用できるはずです。
もし、企業が勝手にあなたの個人情報を盗んでいくのにうんざりしているなら、偽の情報を送ってやるという方法もあります。スーパーマーケットの会員登録で偽の電話番号を書いたりするように、ソーシャルネットワークやGoogleアカウント、Windows Liveアカウントなどのプロフィールに偽の情報を書いておくのです。まず誕生日や名前を変えておきます。また、電話番号の一部や住所の詳しい番地、アパートの部屋番号なども隠しておきます。このようにして、ウェブサービスに登録するプライバシー情報やアカウント情報には細心の注意を払いましょう。
ただし、これは企業やサービスの利用規約に違反する可能性があります。それだけ多くの企業があなたの本物の情報をほしがっているわけです。匿名性を保ちたいなら、うまく対応するようにしてください。最悪の場合はアカウントを削除し、よりプライバシーに配慮があるサービスに移動してしまいましょう。
いかがでしたか? 今後も企業やSNSはあの手この手であなたの情報をトラッキングしようとするでしょう。ここでご紹介したツールをうまく活用して、プライバシーを守りながらインターネットを楽しんでください。
ここでご紹介したもの以外で、あなたのお気に入りのツールはありますか? Google/Facebook/Microsoft/Appleなどからプライバシーを守る方法を知っていますか? ぜひコメント欄でシェアしてください。
Alan Henry(原文/訳:伊藤貴之)
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