「つまらない仕事」から出世を目指す16の方法
The Simple Dollar:1998年の夏、私はとある研究所で夜勤をしていました。ビニールハウスの地下の小部屋で、8時間ひたすら土を掘り、ふるいにかける仕事です。カートがいっぱいになったらエレベーターに乗せて運び、上の栽培室に持って行きます。そして、空になったカートを押して地下に戻る。そんな作業を繰り返していました。ただ土を掘り、ふるいにかける。これほど「誰にでもできる単純な仕事」はないでしょう。
私はチームの一員としてその仕事をしていました。チームの中で、果たすべき役割があったのです。その作業には、植物の苗を育てるための良質な土を作るという大義名分がありました。それを知ってから、私は作業がどんどんうまくなりました。やがて研究所内で私の評判が上がり、大きな仕事を任されるようになりました。そして最終的には別の研究所に異動になり、大幅な給料アップと役職が与えられたのです。
土をふるう作業は、本当にひどい仕事でした。毎朝の帰宅時には、全身に痛みがあったものです。手にはタコができました。辞めてしまおうと何度も思いました。でも、私が選んだやり方は、その後の運命を決めました。一生土をふるい続けるのか、より大きな仕事を任せてもらえるようになるのか。私はその仕事から得られるほんのささいな価値でも逃さずに手にすることで、明るい未来へのハシゴを登れたのです。
もし、あなたが今の仕事をくだらないと思っているなら、視点を変えてみてください。メープルの木だと思うのです。とても固く、荒々しい外見をしているけれど、賢明な戦略をとることで、たくさんのシロップを抽出することができるでしょう。
以下に、誰でもできる単純な仕事でも、そこに価値を見出すための16の方法を紹介します。うまく利用して、もっと大きくて明るい未来へ歩みを進めてください。
1. 態度を変える
その仕事は、より良い状態になるための踏み台です。悲劇だなんて思わないでください。長く続く階段の最初の1段目、ないしは2段目なのです。下を見ずに、上を見ましょう。
陽気に出社、それができなければ陽気なふりをして出社することで、状況は大きく変わります。まず、周囲からの目が、ポジティブなものに変わります。そして、あなたの仕事がつまらないか楽しいかを決めるのは、彼らなのです。嫌いなタスクでも泣き言を言わず、今の仕事は大きな自分になるための第一歩なのだと考えてください。
それでも、本当にその仕事が嫌いな場合はどうしたらいいでしょうか? 私は、その嫌悪感を一緒に働いている人にではなく、自分に向けるのがベストだと思います。今の仕事や状況が気に入らないなら、それは「彼ら」のせいではなく自分のせい。彼らは、あなたのネガティブな言動を見たり聞いたりする筋合いはないのです。私は別の方法でそれを解消していました。具体的には、ひたすら自転車をこいでフラストレーションを発散していたのです。
2. 怠けない
単純な仕事をするうえで最悪の事態は、時間を無駄にすることです。何もせずに時間をやり過ごすのはやめましょう。勤務時間中にスマホをチェックしないように。やることがなければ、自分で見つけてください。
何も思いつかなければ、仕事で使うもののメンテナンスをしてはいかがでしょうか。グリルの掃除。床のモップ掛け。やるべきことのチェックリストをひと通りやりましょう。道具の洗浄や、忙しそうな人を見つけて手を貸すのもいいでしょう。
最悪なのは、ただうろうろしていること。見た目にも怠けているように見えますし、時間の経過が遅く感じられます。ただぼーっと時計を見ているよりも、何かに取り掛かっているときのほうが時間は短く感じられるものです。
3. 質問する
全体を見ることの重要性を知らないまま、単純な仕事をしている人がいます。彼らは自分の仕事の役割を理解していないので、何も考えずにタスクをこなすだけ。ビジネス全体に思考を巡らせるなんてことはありません。大きな視点を得るには、単純な仕事であってもたくさん質問することが必要です。私の場合、上司をつかまえて仕事に関する質問をするのがベストなアプローチであることに気づきました。密室ではなく、あえて他の皆がいる前で質問をして、答えてもらうのです。直属の上司でなくとも、関係する研究所の技術者にも質問をしていました。たとえば、土の用途や次工程の技術者にとって使いやすいカートの置き方などです。
私はこのプロセスを通して、質問をすることで最大限の仕事ができると学びました。各作業が持つ意味と、研究所全体の目標を達成する方法を知ることができたのです。最終的に私は、どんな仕事でも他の誰よりもうまくできるようになり、努力で仕事が「洗練」され、上司や技術者に認められるようになりました。
4. 特典を最大限に利用する
食事の割引や無料のイベントチケットなど、特典がある仕事ならうまく利用しない手はありません。仕事の前後に安い食事を食べたり、入手できるイベントチケットはこまめにチェックしたり、もらえるものは何でももらいましょう。
これにはたくさんの理由があります。たとえば、節約。これは、単純な仕事をしている人にとっては特に重要でしょう。給料が低いのであれば、ほかの形で得られるメリットは逃すべきではありません。別の理由として、特典を現金に変えられることも挙げられます。妻がコンサート会場の清掃員をしていたとき、よくチケットをもらっていました。彼女はそれを誰かに売り、現金収入を得ていました。
見過ごされがちなもう1つの大きな理由が、お客様の視点を得られることです。たとえば、自分が働いている店の料理が食べられるなら、その店のウリや改善点を知ることができます。より良い商品を提供できれば、より多くのお客様が呼べて、より多くのお金が生まれます。もし、あなたがその方法を見つけて、実現させることができれば、あなた自身のメリットにもなります。自社の商品を知ることで、単純な仕事の価値を最大限に高められるのです。
5. メンターを探す
組織であなたの上司にバックグラウンドを尋ねてみましょう。特に、かなり上の地位にいる人の話は重要です。彼らも入社当時は、あなたと同じ単純な仕事をしていたかもしれません。そこからどうやって、今の地位にのぼりつめたのでしょうか?
あなたの今いるポジションから昇進した人を見つけ、その人をメンターにしてください。難しい状況に直面したら、彼らにアドバイスを求めましょう。折を見て、昇進のチャンスを高めるヒントを尋ねましょう。何よりも大切なのは、きちんとアドバイスに従うこと。聞くだけでなく、それを実行に移すことに意味があるのです。
6. 身だしなみに気を配る
土をふるいにかける単純作業だったとしても、見苦しくない身なりで出勤しましょう。たとえ帰るときには汗だくで疲れ果てているような仕事だとしても、そういう姿で出勤していいわけではありません。
きちんとシャワーを浴びて、しわくちゃでボロボロの服は避けましょう。制汗剤を使い、歯を磨き、髪を整えましょう。身だしなみに気を配り、世界に同僚に、そして上司に最高のあなたを見せるのです。
私が単純な仕事に就いているとき、髪はぼさぼさ、服はしわくちゃで起きたままシャワーも浴びていないような人をたくさん見ました。彼らは気づかぬうちに、「こんなところにいたくない。こんな仕事どうでもいい」と主張しているようなもの。そんな人にはならないでください。
7. 時間を守る
どんな理由であれ、遅刻をすれば必ず誰かがあなたのフォローをすることになります。上司も知ることになり、手を煩わすことになるかもしれません。そうならないためにも、必ず時間厳守で行動してください。
単純な仕事の場合、時間を守るだけで、守らない人よりもポジティブに目立つことができます。その状態を保てれば、職場で報酬を得られる可能性が高まります。
私は必ず、勤務開始時間の15分前に着くことを心がけていました。その日の気分によって、着いてすぐに仕事をすることもあれば、勤務時間まで何か別のことをして過ごすこともありました。「とにかく遅れない」という、シンプルな目標を掲げていました。
8. 信頼される人物になる
タスクを与えられたら、自分の持てる最大限の力でそれに取り組んでください。何か新しい仕事を命じられたら、反論せずにやりましょう。やったことのないタスクでも、最善を尽くすのです。
新しい仕事を依頼されたら、それを最小限のミスでこなせるようになりましょう。あなたの上司は、最小限のミスで済ますことを求めています。彼らもあなたと同じように、その日をやり過ごすことを考えているのです。彼らにとってやりやすいのは、あなたが助けを必要とせずにやるべきことをこなしてくれること。あまり手をかけずにあなたが順調に成長することで、彼らの1日は楽になります。
やるべきタスクがあるなら、うまくこなしましょう。堅実に取り組むのです。あなたがいい加減にした仕事の尻拭いを、誰かにさせているようではいけません。
9. ネガティブな会話をしない
どんな職場にも、ある程度のゴシップやネガティブな会話は付き物です。誰しも、上司や会社の不満を言ったり、他人の不幸を喜んだりするのが好きなのです。
そう、誰もがはけ口を求めています。でも、そこに参加してしまうと、ネガティブな結果が待っています。たとえば、あなたが発したネガティブな言葉は、驚くほどすぐに他人の耳に届きます。相手が言うはずないと信じて発した言葉でも、上司やあなたのことを嫌いな人に伝わってしまうことがあるのです。それに、あまり頻繁に批判的な言葉を発していると、あなたの信頼が落ち最終的には憎まれる対象になってしまうかもしれません。
そうならないためにも、ネガティブな会話には最初から加わらないこと。職場では、同僚や仕事内容についての愚痴は慎みましょう。他者の発言には耳を傾けてもいいですが、それを繰り返さないこと。参加もしないこと。それよりも、話題を変えてネガティブな会話を脱しましょう。ネガティブな会話を続けていても、誰の得にもなりませんから。
10. 手柄を自分のものにしない
仕事で褒められても、すべてを自分の手柄にしないでください。それよりも、自分の貢献はわずかであり、実際はかかわったすべての人のおかげと感謝を示すこと。そもそも直属の上司は、あなたの貢献を高く評価しているはず。あなたが手柄を誰かに譲ったところで、上司の評価は変わりません。それだけでなく、あなたがチームプレイヤーであり、職場の皆を引き立てようとしていることに気づいてくれるでしょう。
それに、努力を認められてうれしくない人はいません。あなたは、同僚にポジティブな光を当て、手柄を認めようとしているのです。当然、誰もがいい気分になります。巡り巡って、同僚からあなたへの感謝の気持ちも高まるでしょう。手柄を自分のものにしないことで、上司とも同僚ともうまくいくようになります。
11. 信頼できる同僚を見つける
時間とともに、信頼できる同僚とそうでない同僚を見分けられるようになるでしょう。どんな職場にも、一生懸命に仕事に取り組んでいる人と、そうでない人がいるはずです。寡黙に仕事に取り組む人がいれば、いつも毒を吐いている人もいます。
ネガティブな人は、気にしないことです。もちろん、敵にまわしてもいけません。そういう人は適当にあしらって、黙って仕事をうまくこなしている人との関係を築きましょう。職場にそういう友達がいるのはいいことです。ポジティブな会話や、仕事に無関係な雑談をして、交流を深めてください。助けを必要としていたら助けてあげましょう。見返りを求めてはいけません。
優秀な同僚との強固な関係は、あなたにとってメリットばかりです。必要なときに助けてくれ、重要な場面ではフォローしてくれ、社内の争いごとではあなたの肩を持ってくれるでしょう。優秀な同僚はたいてい、上司からも信頼されているもの。つまり、彼らの言葉は大きな影響力を持つのです。
12. 具体的な昇進の方法を聞いておく
しばらくその組織にいるつもりなら、昇進に魅力を感じるかもしれません。昇進で、待遇が改善されるわけですから。
ただ、何をしたら昇進できるのかは不明確ではないでしょうか。ここまで紹介した方法でもあなたの評判は高まりますが、こと昇進となると具体的な基準を達成しなければならない場合がほとんどです。それを知るためには、あなたの昇進の鍵を握っている上司を見つけ、昇進のために何が必要かをストレートに聞いてみましょう。何が求められているのか。何を達成しなければならないのか。言われたことを書き留めて、チェックリストにしておきます。毎日それを見ながら、通常の仕事に加えて取り組むべきことのガイドにするのです。
13. 常にお客様目線で考える
レストランで料理を待っている人やハードウェアストアで工具を買おうとしている人など、どんな組織にも最終的な顧客が存在します。つまり、あなたの組織にも顧客がいます。タスクに取り組もうとしているとき、ちょっと立ち止まってお客様目線で考えてみましょう。そのお客様に追加料金なしで最高の体験をしてもらうために、あなたは何ができるでしょうか。
たとえばグリルをきれいにすることだったり、食品の鮮度を保つことだったり。棚を補充しておくことだったり、お客様の質問にできるだけフレンドリーに対応することだったり。ハッピーな体験をしたお客様は、また来てくれます。彼らが戻ってくれば、ビジネスは繁盛します。つまり、お客様が戻ってきたくなるような仕事をすれば、社内の人が気づいてくれ、あなたにとってもメリットがあるということです。
14. 売りになるスキルを身につける
毎日の仕事の中で、常にキャリアにおける次のステップを意識してください。次にどうなりたいのか。そのためには、どんなスキルが必要なのか。多くの場合、未来の仕事に必要なスキルは、今の仕事とは完全には一致しないでしょう。それは、接客スキルやタイムマネジメントかもしれませんし、情報管理や何らかのITスキルかもしれません。
それでも、今の単純な仕事と理想の仕事の間に何か共通点がないか考えてみてください。それが見つかったら、仕事中にそのスキルを伸ばすように努力します。たとえばマーケティングの道を進みたければ、マーケティングに関連する仕事に集中して取り組みましょう。具体的なスキルがなければ、コミュニケーションスキルや情報管理など一般的なものに取り組んでおくといいでしょう。
15. 嫌われる理由を作らない
職場には必ずネガティブな人がいます。彼らは、いつも誰かを攻撃していなければ気が済みません。残念ながらそれが彼らの性格なので、あなたの手で変えることは不可能です。
それよりも、彼らの標的にならないことを目指しましょう。次工程を待たせない。上司の手を煩わせない。可能な限り争いごとを起こさない。そうすることで、他人に迷惑ばかりかけている同僚が、彼らの餌食となってくれるでしょう。ハッピーな結果とは言えませんが、誰かが標的になる必要があるのであれば、それが自分でないようにすることは重要です。
16. 最後に
誰でもできる単純な仕事は、希望のキャリアに向けたパワフルな第一歩となる可能性があります。「こんな仕事なんの役にも立たない」とか「お金をもらえる以外なんのメリットもない」なんて思わないでください。どんな仕事でも、あなたの未来への扉を開けることができるのです。
だから、目の前の仕事に真剣に向き合ってください。お客様目線で仕事に取り組んでください。信頼される人間になり、時間を守り、きちんとした身なりをして、怠けないでください。メンターを見つけ、優秀な同僚と強固な関係を作ってください。昇進には何が必要かを確認しましょう。これらに配慮すれば、明るい未来への道が開けるはず。
グッドラック!
How to Get a Ton of Value Out of an Entry-Level Job | The Simple Dollar
Image: Jirsak/Shutterstock.com
Trent Hamm(訳:堀込泰三)
元記事を読む
- ブーストマガジンをフォローする
- ブーストマガジンをフォローするFollow @_BoostMagazine_