右脳派・左脳派診断は非科学的であるという驚きの研究結果

2017.9.3 20:07 更新

読了時間:5分26秒

科学研究:右脳・左脳神話はウソだった

Image: Bulatnikov / Shutterstock.com

Inc.: Anna Henselが最近書いた記事に「左脳人間がこの夏読むべき14冊」があります。そこには、クリエイティブになるためにおすすめの、すばらしい本がたくさん挙げられています。ただし、記事の見出しが少々ひっかかるのです。実は、「左脳利き」の人と「右脳利き」の人がいるというのはまったくの俗説であることが、多くの科学実験で示されているからです。

私たちは皆、性格分類が大好きですよね。星占いや血液型診断、女性誌に載っている性格診断などの人気を見ればうなずけるはずです。そして世の中には、より分析的で理路整然とした人と、よりクリエイティブで感覚的な人がいることもたしかです。でもだからといって、そうした性格タイプと脳の左右どちらをよく使うかが結びつくわけではないのです。

脳画像を見てみると……

それを証明するのが、最近発表されたユタ大学による研究成果です。右脳・左脳で人を分類するのは、出生時の胎児の姿勢で性格診断をするのと同じくらい非科学的であることがはっきり実証されました。

研究チームは1,000人以上の脳画像を撮って、右脳型・左脳型の人にみられる徴候を探したのです。その結果……何も見つかりませんでした。

“たとえば、言葉に関係する作業をするときは脳の左半球が活性化するというように、活動によって、どちらか半分がとくに活性化するのは事実です。でも、誰でもそうなのだそう。”

「認知スタイルがより系統的で理論的な人と、自由で感覚的な人がいることはたしかです。しかし、脳の右半球と左半球の各機能とはまったく無関係な話です」と、この研究に携わった脳研究者Jeffrey Anderson氏は断言しています。

“話半分で、自分は右脳人間だ、左脳人間だと語るのは、罪がないように思われるが、それには不正確な情報であるという以上の問題がある。”

そう指摘するのは、Amy Novotney氏の寄稿した『The Guardian』紙の記事です。右脳・左脳神話は「自己充足的予言となる危険がある」と警告しているのです。彼女は自己充足的予言をこう説明します。

たとえば、12歳の子がオンライン性格診断をやって、数字が苦手な「右脳人間」と診断されたことが原因で、数学の宿題なんてやっても無駄という考えにいたったら…いい加減な二分法が、もはや笑いごとではなくなります。また、失業中の求職者が理想の仕事の募集を目にするも、左脳人間の自分に欠けていると思われるクリエイティブなスキルが必要と書いてあるために応募をあきらめてしまう、といったケースも考えられるでしょう。

右脳・左脳神話の発端

そもそも、脳の右半球への依存が多い人と、左半球への依存が多い人がいるという考えは、どこからきたのでしょうか? この概念の起源はおそらく、Roger Sperry博士が1960年代に行ってノーベル賞を受賞した研究だと考えられています。博士は、てんかん治療のために左右の脳の連絡回路である脳梁を切断した患者を被験者として、実験を行いました。

結果は、あなたも生物の授業で習った通り。脳の左右半球で機能が分かれていることが実証されたのです。しかしこの研究では、右が「感情的機能」で左が「理論的機能」といった区別はいっさい示されていません。それは、後に通俗心理学者やオンライン性格診断の作成者によって考え出されたものだそうです。

Anderson博士が今回の研究から導いた結論は、「巷に流布している言説(創造脳VS論理脳)は、神経科学的知見からはまったく支持されないものであり、脳組織や左右半球の機能的役割、そして左右半球のいずれかを損傷した患者からのエビデンスを調べた、数十年間の研究成果を無視したものです」とのこと。

とはいえ、これはAnnaの記事にクリエイティブになるためにおすすめの本がたくさん載ってることを否定するものではありません。ただ、クリエイティブでない人を「左脳人間」と呼ぶべきでない、ということです。

Left-Brained Vs. Right-Brained People Is a Total Myth, Says Science |Inc.com
Image: Bulatnikov / Shutterstock.com
Source: Inc. 1, 2, 3, 4, 5, LIVESCIENCE, BBC, The Guardian

Jessica Stillman (訳:和田美樹)

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