「暑さは人の行動を大きく変えてしまう」という研究結果
Inc.: 暑い……。こういうときの筆者がどうかというと、仮に「こんな天気だからと、毎日の夕飯がクッキーサンドアイスというのは間違っているし、体に悪い」などと言う人がいようものなら、思わず顔面を殴ってやりたくなるような気分です。
私はおかしいのか? そんなことにむしゃくしゃしてしまうのは、性格に問題があるのではないか? まともな疑問ではないでしょうか? しかし今回、気温が上がるほど最良の自分から遠ざかってしまうのは、どうやら自分だけではないとわかり、少し胸をなでおろしています。
多くの人がかねてから気づいていたことだと思われますが、暑さが人格を狂わせるという言説が本当であることが、新たな心理学研究で確認されました。
いい人になるには……エアコンをつける
Psychology Todayによると、ビジネススクールの2人の教授が行った研究では、2つの被験者の集団を、暑い環境に置いて実験が行われました。小売店チェーンで働く店員の場合、店内が不快な暑さになるとサービスが悪くなるという結果が出たそうです。
“自発的に顧客の役に立とうとする、積極的に顧客の話を聞く、提案する、といった行動をとる確率が 50%減った。”
第2の被験者は大学生です。半数には蒸し暑い部屋で、もう半数には涼しく快適な部屋で、同じ内容の、慈善団体に関するアンケートに答えてもらいました。さて、人助けをする気になった人が多かったのはどちらでしょう? はい、そのとおり。快適な部屋にいた学生のほうが、はるかに広い心をもっていました。驚くのは、その差の大きさです。
“1つ以上の質問に答えてくれた人が、暑い部屋ではわずか64%だったのに対し、涼しい部屋では95%だった。”
とPsychology Todayは伝えています。人は、暑すぎる環境に置かれると、少々不機嫌になるどころか、行動まで大きく変わってしまうようです。
これはどうしてなのでしょうか? 暑いと、よく眠れない、脱水状態になる、体が思うように動かない、状況に対し建設的な対応ができない、といったことがまず考えられます。しかし、暑さが体に及ぼす、もっと直接的な影響もあるのです。今回の研究とは直接的に関係はありませんが、専門家らはUSA Todayで以下のように語っています。
体温が上昇すると体が興奮――つまり、心拍数と血圧が上がり、体は自ら体温を下げようとします。この現象が、私たちの行動に悪影響を及ぼし得るのです。体の興奮状態は、攻撃的な行動と関連していることが知られています。
ここから学ぶべきこと
さて、ここから何が学べるでしょうか? 最も明確なポイントは、 冷房をつけたほうが従業員に生産的(そして元気)に働いてもらえる可能性が高い、ということでしょう。
もう1つのポイントは、エアコンの主導権を握っていない人にも当てはまります。猛暑のときの自分はあまり良い自分ではないことには、誰もが前々から気づいていたかもしれませんが、それが科学的に証明されたのですから、その作用をもっとしっかりと認識しましょう。暑いときは後で頭を抱えるような行動をしがちだという自覚があれば、他人に八つ当たりしそうな自分を抑えやすいはずです。
では、暑さによるイライラをコントロールするにはどうすればいいのでしょうか? Psychology Todayは、深呼吸をおすすめしています。
不快レベルの高温な環境にいることを強いられたら、複式呼吸を数回してみましょう。ゆっくりと深く息を吸い、それ以上に時間をかけて吐きます。深呼吸は迷走神経に刺激を与えて副交感神経機能を活発にし、“親切でフレンドリー”な自分(別名「良き本性」)をいつでもどこでも簡単に引き出せる方法です。
Here’s Why Hot Weather Makes You Cranky, According to Science|Inc.com
Image: kostasgr/Shutterstock.com
Source: Psychology Today, USA Today
Jessica Stillman (訳:和田美樹)
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