どうして「チャレンジ精神のないデンマーク人」が「男性に人気のフラワーショップ」をつくれたのか?:ニコライ・バーグマン氏インタビュー
Mugendaiより抜粋:東京・南青山にある「ニコライ バーグマン フラワーズ & デザイン フラッグシップ ストア」。店内には、鮮やかさの中にも、どこか落ち着いた雰囲気で花々が咲き誇ります。カフェが併設されたこのフラワーショップ最大の特徴は、男性客が多いということ。
このショップのオーナーであるフラワーアーティストのニコライ・バーグマン氏は、北欧デンマークのコペンハーゲン生まれ。日本に移住して約20年、デンマークと日本の感性・文化を融合させ、独自のフラワーデザインを確立しました。日本人の習慣、精神性をも吸収し、日本語にも精通しているニコライ氏が、日本で感じた美意識、フラワーデザインに込めている願いについて、その流暢な日本語で語ってくれました。
ニコライ・バーグマン(Nicolai Bergmann)
デンマーク、コペンハーゲン出身。日本での活躍でフラワーデザイン界に新たな次元を開き、色彩、形、バランス、細部への眼識を活かすことでファション界、デザイン界にまで地平を広げ、その結果、世界有数のデザイン企業とさまざまな共同デザインプロジェクトに取り組む。 確固としたスカンジナビアスタイルを活かしながらヨーロッパのフラワーデザインスタイルと日本の細部にこだわる感性や鍛え抜かれた職人技が一つに融合され、「ニコライ・バーグマン・フラワーズ&デザイン」というブランドは、今やフラワーギフト、製品発表会、イベント演出とコンサルティング、そして特別なイベントやウエディングの企画にと大きな人気を博している。
初めての日本は刺激的だった
── 初めて来日した時の印象を教えてください。
ニコライ:16歳の時にデンマークの専門学校でフラワーアレンジメントの勉強をして、花に関する免許を取得し、卒業後の19歳の時に3カ月間、日本へ来る機会に恵まれました。当時、日本で働くことは考えておらず、とにかく日本のさまざまなものを見てみたいという好奇心だけでした。初めて日本に来た時は、日本とデンマークの文化や習慣が大きく異なり、ただただ驚いていたという記憶が強く残っています。人口500万人のデンマークと比較して人が多いこと、何事も時間の流れが速いことなど、大きなカルチャーショックを受けました。しかし、帰国して落ち着くと、日本のスピード感を楽しんでいた自分に気づきました。
── 日本が、刺激的な国に見えたということでしょうか?
ニコライ:日本に来るまで、私は自分自身を内向的な人間だと思っていました。同級生は「将来アメリカへ行きたい」「留学をしたい」などと話していましたが、私には将来への願望がありませんでした。ただ、デンマークにいられればいいと思っているようなチャレンジ精神のない若者でした。でもそれは、ただ世界を知らなかっただけなんです。日本へ行ったことで、自分も外に出るのが好きなんだと気づくことができました。
── フラワーアレンジの経験を積むため日本で働くことを決意されたそうですが、来日当初は、どんなビジネスプランがありましたか?
ニコライ:プランは何もありませんでした。最初に勤めたのは埼玉県の川越にあるごく普通のフラワーショップでしたが、働かせてもらえるだけでうれしかったです。でも働いているうちに、もっとチャレンジしたいという気持ちになり、都内のブライダルサロンでのフラワーデザインを任されるようになりました。平日は川越で働き、週末は東京でブライダルの仕事と多忙を極め、休みはありませんでしたが、とても楽しかったです。
── その頃から、いつか自分の店を持ちたいという思いはありましたか?
ニコライ:ずっとありました。自分のショップを持つことは大変だとわかっていましたが、その気持ちはずっと変わりませんでした。振り返ると、16歳の時には自分のフラワーショップを持ちたいと考えていましたが、「まずは経験を積んだらどうか」と父に言われ、日本に来たという経緯もあります。祖父も父も商売をしていたし、私も10歳の頃からカボチャを育てて市場に売ったりしていました。デンマークでは親からお小遣いをもらう習慣がなく、子どもの頃から働いてお金をもらうのが当たり前なんです。今、思い返せば、ビジネスマンとしての祖父や父の姿を間近で見ていたことや、子どもの頃からお小遣い稼ぎをしていたことが、いつかは自分も店を持って、商売をしたいという動機になっていたのだと思います。
後編では「男性に支持されるフラワーギフトショップ」という独特の成功を収めるためにニコライ氏が考えたことが明かされます。こちらからご覧ください。
刺激を受けた日本でこれからも続くパッション――ニコライ・バーグマン インタビュー | Mugendai(無限大)
(ライフハッカー[日本版]編集部)
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