善玉コレステロール、本当に健康によいのかは不明とする調査結果が発表
やっぱり摂りすぎはよくない?
コレステロールには、善玉コレステロール(HDL-C)と悪玉コレステロール(LDL-C)の2種類があって、健康によい善玉コレステロールを増やそう…。そんな類いの話を耳にしたことがあると思います。でも、その信ぴょう性を疑問視する新たな調査結果が発表されましたよ!
科学誌のサイエンス(Science)に掲載されたケンブリッジ大学の研究チームによる発表によれば、身体によいとされている善玉コレステロールのHDL-C値が高い人でも、心臓疾患のリスクが高まる例があると判明。血中の悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やすほど、冠動脈疾患のリスクが下がるという一般的な概念に疑問が投げかけられています。
同研究では、遺伝子「SCARB1」の配列が「P376L」の変異体になっている人が選び出されて追跡調査を実施。P376Lを有していると、善玉コレステロールの受容体として機能する「SR-BI」の働きが阻害され、HDL-C値が異常な高さを示すとされています。ところが、善玉コレステロールが豊富にあるにもかかわらず、追跡調査から心臓疾患のリスクが通常より80%も高まったことが明らかにされていますよ。この割合は、喫煙が心臓疾患のリスクを高めるレベルにさえ匹敵するんだとか。
いわゆる「悪玉」コレステロールが与える悪影響が実証されたものであるのに対して、どこまで「善玉」コレステロールが良い役割を果たすのかに関しては疑問が残っている。HDL-C値を高めると心臓疾患のリスクは下がると考えられているものの、HDL-C値を高める薬が実際に(心臓疾患の)リスクを下げることまでは実証されていない。
同研究チームは、このようにコメントしながら、今回の調査結果を紹介。単純にHDL-C値を高めることではなく、どのように善玉コレステロールが実際に機能するのかを、もっと研究する必要があるとしています。今後も研究が進むことで、より効果的な心臓疾患の治療法が見つかる可能性があるとの希望も表明されていますよ。
なお、今回の発表は、薬によってHDL-C値を高めても心臓疾患のリスクが下がるわけではないとの見解を有していた複数の専門家から歓迎されています。とはいえ、依然として、薬で悪玉コレステロールを減らせば心臓疾患のリスクを下げられるのも事実であり、直ちに現在の治療法を変えなければならないわけではないとのコメントが出されているようですね。悪玉コレステロールが悪いのは確かですが、どこまで善玉コレステロールが本当に良いものなのかをめぐっては、まだまだ議論が続いていきそうです〜。
source: Science
George Dvorsky – Gizmodo US[原文]
(湯木進悟)
- ブーストマガジンをフォローする
- ブーストマガジンをフォローするFollow @_BoostMagazine_