筆者がiPhone7を購入したことは、「オヤジ ピンクのiPhone7を買う」でご紹介したとおりだ。あのときは故障に怯えながらも、iPhone7の防水性能を実証してみせた。…本当に壊れなくてよかった。
Apple Payもはじまり、耐水・防塵性能、さらにはイヤフォンジャックの廃止など、新しい要素がてんこ盛りのiPhone7。しかしカメラ性能にはあまり触れられていない。iPhone7 Plusがデュアルカメラを搭載したせいで、そちらに注目が集まったようだ。
だが、実際にiPhone7を日々使っている筆者としては、カメラ機能にかなりの進歩を実感しているのだ。その中でも、特筆すべきは夜の撮影だ。
今回はiPhone7のカメラがどれくらい夜の撮影に強いのかを確認するべく、川崎の工場地帯へと潜入してきたので、その様子をお届けしたい。
比較対象はなんと、一眼レフ。筆者、実はカメラオヤジでもあるのだ。
iPhone7のカメラスペックを確認しよう
撮影に出かける前に、iPhone7のカメラスペックを振り返っておこう。
全て掲載すると分量が多いので、大きな変更をAppleの公式サイトから抜粋したのが以下だ。
・12MPカメラ
・光学式手ぶれ補正
・クアッドLED True Toneフラッシュ
・6枚構成のレンズ
・ƒ/1.8の開口部
・最大5倍のデジタルズーム
・写真とLive Photosの広色域キャプチャ
このうち、iPhone6からの変化というと、レンズが変わってF値が2.2から1.8に変化したことと、レンズ構成が5枚から6枚になっただけなのだ。
ちなみにF値とは、カメラのレンズの明るさを示す数値であり、数字が低いほど明るくなる。
実際、筆者はiPhone7に変えた後、何の気無しに暗いところで撮影した際に、簡単に鮮やかな写真が撮れたことに驚いた。これまでのiPhoneであれば、暗いところだとフォーカスがなかなか定まらなかったり、手ぶれがひどかったり、撮れても暗くて何だかよくわからない写真だった。それが、iPhone7だとブレもなく明るく撮影できるのである。
次の画像はiPhone6でiPhone7と同じ場所を撮影したものだが、違いがおわかりいただけるであろうか?
いざ、川崎工場地帯へ夜景を撮りに行く
はじめに川崎工場地帯について簡単に説明しておこう。川崎工場地帯とは、製鉄所や化学工場など、様々な工場が集まる京浜工業地帯の一角のこと。この一角で2008年頃から工場夜景ツアーなるものが開催されはじめたのだ。
自然破壊が叫ばれる昨今、工場というものはどうしても負のイメージで見られがちだ。おそらくはそういった負のイメージを払拭するためのものとして企画されたのだろう。その狙い通り、いや狙い以上に、この夜景ツアーがヒットすることになった。今では夜景クルーズや、バスツアー、タクシーツアーなど様々なツアーが組まれる人気ぶりになっている。
今回はその中でも工場夜景の草分け的存在である、千鳥町周辺へと出かけた。千鳥町には日本触媒や昭和電工、日本油脂(現在は社名変更して日油)など様々な企業の工場が存在している。特に、市営埠頭の付近はツアーで必ず寄る定番スポットなのだとか。
今回はその中から幾つかの撮影スポットを回って、iPhone7と筆者の愛機CanonのEOS 70Dで写真を撮ってきた。
スポット①:千鳥町 貨物ヤード前
川崎駅からバスに乗り、市営埠頭で降りると目の前にあるのが、この撮影スポットだ。工場の資材運搬用の線路などもあり、その線路をアクセントに工場を撮影するのが定番になっている。
筆者がバスに乗っているときはここで降りた客は筆者だけで不安になったものだが、撮影スポットに着くと、すでに撮影している人たちがいた。なるほど、たしかに人気があるようだ。
では、実際にiPhone7で撮影したものを御覧いただきたい。
いかがだろうか?アレブレ(写真が荒れていてぶれていること)も少なく、怪しく輝く工場の雰囲気がよく表されていると思う。偶然だがライトの光芒(写真で斜めに走っている光の筋のこと)もいい感じに撮影できている。なによりも明るい!
写真の前景部分はどうしても後ろの明るさに引っ張られて黒つぶれ(明るさの強弱がある部分が黒一色になること)が出ているが、工場自体はとてもキレイに撮れていると思う。そこらのコンパクトデジタルカメラや、かつてのiPhoneと比べて格段に良くなっている。
スポット②:千鳥橋周辺
貨物ヤード前から移動し、国道132号線に出て、川崎駅方面に少し歩くとあるのが、この撮影スポットだ。千鳥橋という橋の手前に、日本触媒の工場があり、その工場がメインとなる。こちらも線路が敷かれており、なかなかにフォトジェニックだ。
歩道を横切る線路の上から撮影。工場奥に続いていく線路と、その周りにそびえる化学プラントが美しい。こちらもアレブレなくキレイに撮影できた。
先ほどの貨物ヤード前よりも明暗差が少ないので、手前もしっかりと視認することができる。黒つぶれなしでここまで撮れるのはさすがiPhone7だ。
工場に寄ったもの。やはり光源に近づくと前景に黒つぶれが発生してしまう。しかし、工場のディテールについてはより鮮明に映し出すことができた。
手前のダクトのワクワク感が伝わるだろうか。
スポット③:千鳥運河
最後は千鳥町を流れる千鳥運河沿いから撮影を試みた。運河の向こうに旭化成ケミカルズの工場群を見渡すことができる。水面に工場の光が写り、美しい写真が撮れる場所だ。
遠景になった分、ディテールにいささか不満が残るが、光源からこれだけ離れてもこの明るさで撮影できるのはすごい。そして、水面に反射する光もキレイに表現できているではないか。
吹き上げる炎を撮りたくてズームしてみたが、こちらはいたる所でディテールが潰れてしまっている。ガタガタとぶれてフォーカスが定まらず、なかなかシャッターが切れなかった。ズーム撮影は昼間でもなかなか画が定まりにくい。ましてや夜になると、さらに難易度が高まってしまう。またズームを使っているため、どうしても感度が上がりすぎてアレブレが発生してしまう。このときばかりは、かつてのiPhoneの画質を思い出してしまった。
同じ夜景をデジタル一眼レフで撮影してみた
デジタル一眼レフの場合、長時間露光という「シャッターを長時間開けっ放しにする」撮影方法ができる。高感度にすればブレずに写真を撮影できるが、どうしても荒れが出てしまう。それを防ぐための手法だ。
ブレはシャッターを押した際に発生することが多い。筆者の一眼レフ(CanonのEOS 70D)はiPhoneアプリで操作することができるためカメラに触れずにシャッターを切れる。このアプリがあればシャッターを開けっ放しにしてもブレることなく撮影できるのである。
それでは、iPhone7で撮影したのと同じアングルを一眼レフで撮った写真を4点掲載する。どれくらい違うか、比較してみてほしい。
iPhone7の写真も鮮明だったので、それだけ見ると非常にキレイに感じた。
ただこうして比較すると、やはり一眼レフのほうが鮮明で表現力豊かではないだろうか。まぁ、そりゃそうか…なんといっても一眼レフは写真専用の機械なのだから。
ちなみに一眼レフの長時間露光のもう一つの利点は光の軌跡が美しく出ることだ。水面など波打っている場所は一瞬の撮影だとどうしてもその波の動きが出てしまう。長時間露光であれば、長い間シャッターを開いているので、水面が鏡のようになり、より光が美しく反射するのだ。iPhoneにも長時間露光ができる機能があればいいのに…
まとめ
いかがだっただろうか。やはり写真のクオリティーという面では、一眼レフが一枚上手になった。が、iPhone7のクオリティーの高さにも改めて驚かされた。
プロ並みの写真を撮ろうと思うと、どうしてもiPhoneでは物足りなさを覚えてしまうだろうが、通常の夜間撮影であれば十分にキレイな写真が撮れることがおわかりいただけたと思う。このクオリティーならちょっと薄暗いオシャレなレストランや、電気を消して誕生日ケーキのろうそくを吹き消す瞬間だってキレイに撮影できる。
これからは日が落ちるのも早くなり、暗い時間が増える。また、クリスマスという夜間のイベントも控えている。iPhone7を手に入れて、思い出に残るキレイな写真を手軽に撮影してみてはいかがだろうか?
終わりに
近年、カメラの売上が下がっていると聞いて、寂しい気持ちが強い筆者。今回ご紹介したように、一眼レフカメラは撮り方次第でとてもキレイな写真が撮れる。iPhone7で写真を撮る楽しさに目覚めたら、次に一眼レフの購入も考えてくれるとうれしい。
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