あなたは来週の木曜日、9月15日がなんの日か知っているだろうか?
正解は「中秋の名月」。そう、十五夜のお月様が見られる日である。筆者は生まれたその日が十五夜だったというミラクルを持っているので、十五夜には少々うるさい。もちろんお月見だって毎年欠かさずやっている。
そこで、どうせだったらもっときれいな月を家族で見たいと思い、何かいいものはないかと考えた。そこで以前ブーストマガジンでも紹介したスマホ天体望遠鏡「PalPanda」を思い出した。
あれなら値段も控えめで、けっこうキレイに見えそうだしいいなー。あわよくばサンプルを…。なんて邪な思いもありつつ、今回の企画を実行することにしたのである。
終わってみればPalPandaの魅力はもちろん、担当者の教育への考え方にも感銘を受ける結果に。天体観測を楽しみたいと思っていた人はもちろんだが、子どもを持つ父親にはぜひ最後まで読んでいただきたい。
PalPandaってなにが出来るの?
今回紹介するスマホ天体望遠鏡「PalPanda」はTOCOLという学習プログラムの一環として販売されているものになる。このTOCOLを主催しているのが、「五感コミュニケーション協働プロジェクト」という団体で、立命館大学を中心に複数の企業や団体が連携して構成されている。今回はその中の開発担当の戸田さんにお話を伺ってきた。
PalPandaもその前身となるMoMoPandaも、段ボール製でありながらもその高い解像力が自慢だ。しかもPalPandaになったことで、さらにその解像力は高まり、月面の色まで認識できるほどになったという。一見モノトーンに見える月面もPalPandaの手に掛かると緑や青みがかった部分が見て取れるらしい。
うーん、確かに若干クレーターのあたりなどが青みがかって見える。それにしても段ボール製とは思えない解像力の高さだ。戸田さん曰く、「本格的な望遠鏡に匹敵する」くらいの解像度なんだとか。
他にも、太陽投影板がついていて、黒点の観察が出来たり、望遠鏡として昼間に遠くのものを見ることも可能だ。また接眼レンズを外せば、それが顕微鏡に早変わりしたりもする。実に多彩な望遠鏡なのである。
また、PalPanda・MOMOPanda共通の特徴として、スマホ・タブレットが取り付けられることがあげられる。ちなみにタブレットが取り付けられる望遠鏡は今のところPalPandaだけなのだとか。
では、どうしてタブレットが取り付けられるとよいのか。それはずばり、親子で一緒のものを一緒に見ることができることだ。
通常の望遠鏡の場合、覗かなくては天体は見れず、見ているものを共有することは難しかった。
筆者も経験があるが、先に覗いている人に「あそこの星キレイ。見てみて」と言われても、どの星なのか正確にはわからないのである…その点、タブレットの画面なら「この星」と指差し確認ができるし、一緒のものを見ているので会話が弾むのである。
また、戸田さんによると「覗く」という行為は意外と難しいらしい。人によってピントが違うので、自分では見えていても、子どもにはぼやけて見えていることもあるのだとか。タブレットやスマホならピント調節などはむしろ機械のほうでやってくれるし、ズームだって出来る!
また、動画や写真をすぐに撮れることも利点だ。
たとえば興味を持って子どもが観察日記などをつけることになっても、スマホの機能で今日の姿をすぐに記録でき、翌日のものと比べることができるわけだ。自分のスマホできれいな月面の写真が撮れたらそれだけで子どもは嬉しいだろう。というか大人の筆者だって嬉しい…
PalPandaでなにを見る?
中秋の名月に月面を見る、といってもじゃあなにを見ればいいのか。月面を観察する上で、なにを見ればいいのか、戸田さんにオススメを聞いてみた。
「月面Xって知ってますか?」
この質問を投げるやいなや、戸田さんはこう言ってきた。うーん、いったいなんのことだろうか。
その正体は、月面にある山やクレーターに光りが当たることでX字に見えるところのことらしい。他にもV字に見えるものがあったりA字に見えるところがあったりと、様々なものを見ることができる。
また、クレーターなどにも名前が付いていたりするので、それらを下調べして探してみてはどうか、とのことだった。「あれが『静かの海』で、アポロ11号が着陸した場所なんだよ」なんて話せば、父親としての株も上るかも。
下調べ用のオススメサイトも教えてもらったので、こちらでチェックしておこう。見れる時期や時間帯なんかもわかるので、オススメだ。
月世界への正体
URL:http://mo.atz.jp/index.html
月以外にもなにかよいものはないかと尋ねたところ、「今は土星が見えるので、土星がオススメ」と。しかもPalPandaの性能であれば、土星の輪っかまで見えるらしい。
これが、その実際の映像だ。
おぉ!本当に輪っかが見える。これはきっと子どもも喜ぶに違いない。今の時期は19時から22時の間で見ることができるそうなので、その時間帯に覗いてみてほしい。
ちなみに、月面観察の場合、満月よりもむしろ陰影がはっきり出るちょっと欠けているもののほうが見ていて楽しいらしい。満月の場合は正面から太陽の光が当たるので、陰影がわかりにくいのだとか。
…まあ、満月もきっと楽しいと思うので、それはそれで楽しんでほしい。でないと思いついた筆者が悲しくなってしまう…
PalPandaに込めた思い
PalPandaの特徴として、段ボール製で誰でも手軽に作れる。一方、段ボール製のため、他社のものよりもちゃちな感じに見えてしまうことで、「段ボールにしては高い」なんて言われてしまうこともあるらしい。
しかし、そこには深い理由が隠されていた。
「今の時代はなんでも出来上がったものを渡して終わり、ってなってしまっている。親も与えるだけで、自分で使おうとしない。だから子どもはうまく使いこなせないままで、興味が薄れてしまう」
「そうではなくて、自分で簡単に作れることで、興味を持ってもらい、親と一緒にコミュニケーションを取りながら使ってもらうことで興味を持ってもらいたい」
戸田さんによると、今も学校教育の現場でも天体望遠鏡を使った授業はある。それはどちらかというと、接眼レンズを取り付けて、ピントを合わせて、など使い方や構造を学ぶもの。また観察の対象も夜の観察は行わず、昼間の月を見るに留まっているそうだ。
また、望遠鏡自体もピンきりで、中にはあまりよく見えないものもあるらしい。
買ったはいいが、ぼんやりとしか見えず、使い方もわかりにくく、天体ファンが離れてしまう、なんてことがよくあるそうだ。
そうした現状を変えるために、PalPandaは段ボールとレンズだけという簡単な作りにして、なおかつ性能がよいものになるように開発されたという。
道具の扱い方なんかよりも、まずは「見て楽しむ」こと。「親と一緒に作り、一緒に観察する」こと。それが子どもの興味を育むと考えているのだそうだ。
学校教育も大切だ。しかし、それ以上に子どもの興味を養うには、親や家庭の影響は非常に大きい。興味本位で今回、PalPandaについてインタビューをすることを思いついたが、改めて、そんなことに気が付かされたインタビューであった。
まとめ
今回のインタビューではPalPandaの予想以上の性能の高さに驚かされたのはもちろんだが、なによりも戸田さんを含めた五感コミュニケーション協働プロジェクトの方々の教育への考えを知ることが出来たのがなによりの収穫だった。
最近の塾の宿題なんかは驚くほど難しかったりする。
親が勉強を教えることには限度があるかもしれない。
でもこうして星空を眺めたり、一緒になって楽しむことはいつまでだって出来るのだ。そして、それが子どもの好奇心を育てることにつながっていくのだと思う。
筆者も来週の星空観察を機に、もっと我が子たちとコミュニケーションを取っていこうと思った次第である。
まあ、あくまで勉強の邪魔にならない程度に、ではあるが…(勉強の邪魔になると妻の機嫌が…)
読者のみなさんもぜひ、PalPandaで親子のコミュニケーションを楽しんで、子どものワクワクを増やしていただきたい。
おまけ
余談だが、取材申込時の「商品が欲しい」という邪な気持ちがあったが、取材を通して「ぜひ買いたい!」に変わった。
戸田さん、本当にありがとうございました。
【詳細情報】
[商品名]DIY スマホ天体望遠鏡 PalPANDA
[発 売]2016年7月12日
[価 格]9,000円+税
[サイズ]縦296mm×横244mm×厚さ39mm
[付属品]スマホ25顕微鏡+スマホ25偏光顕微鏡+太陽投影板+ポストカード
[製 造]Made in Japan
[出版社]リリス
[ISBNコード]978-4-903808-27-7
https://www.tocol.net/panda/products/cat/22
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